こまちのさすけね亭

ひだまりを 拾って歩く お年寄り

2024年1月の映画

2024-02-29 | 映画
2024年は1月1日から映画館に赴き、今年も素敵な映画ライフのはじまりとなりました。

その後もがんばって通った結果、10本以上の映画を鑑賞することができました。

その中から、おすすめの作品をご紹介します。

◎アキ・カウリスマキ監督『枯れ葉』(フィンランド/ドイツ、2023)

一度は引退を表明した、大好きな監督の新作!

ザ・北欧映画という感じで、淡々としていてシュールな、味わい深い作品です。

ドリンクに寿司のマドラーが添えられていたように見えました。

探してみてください。


◎平野陽三監督『僕が宇宙に行った理由』(日本、2023)

宇宙もの好きにおすすめしたいドキュメンタリー。

民間人で史上初となる宇宙旅行を成し遂げた前澤友作氏が主人公です。

彼を必要以上に持ち上げるようなことはなく、フラットな視点でとても観やすかったです。

宇宙へはとても行けそうにないけれど、いつかロケットの打ち上げをこの目で見るという夢ができました。

前澤氏が帰還した2ヶ月後、ウクライナ侵攻が始まり、宇宙旅行している場合ではなくなりした。

運の強い人だと思います。


以上、2本のご紹介でした。

私の通う映画館のうち1館の閉館が発表されたのは1月でした。

4月からは、今までのように順調に鑑賞することはできなくなると思います。

もしかしたら、紹介できる作品も減ってしまうかもしれませんが、3月までは今まで通りのペースで突き進みます。

2023年12月の映画

2024-01-01 | 映画

あけましておめでとうございます。

2024年も引き続き映画の記録などを書いていきます。

先月は、大晦日も映画館に行っていました。

ギリギリまで粘った結果、2023年で2番目に多く映画を鑑賞した月になりました。

それなのに、「この映画、好きだ!」と大きな声で言える作品にまた出会えなかったのです。

一定の基準をクリアした作品には出会えたため、その3本をご紹介します。

◎グレゴル・ボジッチ監督『栗の森のものがたり』(スロベニア/イタリア、2019)

ファンタジックで絵になる映像は昔の映画のようで、世界観が好きだと思えた作品です。

ストーリーは理解できませんでしたが、雰囲気が良かったです。

真冬に観たい作品。

◎アクタン・アリム・クバト監督『父は憶えている』(キルギス/日本/オランダ/フランス、2022)

監督が主演、実の息子が息子役。

派手ではないけれど良質な作品でした。

視覚的・聴覚的に素朴な暮らしが伝わってきます。

言葉数の少ない作品で、その分洗練された台詞が際立ちます。

ワードセンスが抜群。

日本語訳が秀逸なのでしょうか。

そして、母親がとにかく美しいです。

夫との離婚後や死別後など、女性が弱っているときに男たちが近付いてくるのは万国共通。

十分に注意されたし!

話がそれました。

ご馳走を振る舞うシーンでは、部屋いっぱいにレジャーシートのようなものを敷いて食べ物を大量に用意していたことに驚きました。

キルギスのおもてなしはすごい!!

ラストシーンは切なくて綺麗でした。

◎ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』(日本、2023)

第76回カンヌ国際映画祭で主演の役所広司が男優賞を獲った作品です。

日本とドイツの合同製作だそうです。

舞台は東京の中心部。

すれ違う女性たちに時折心乱されながら、日々を生きていく清掃員の話。

無駄が削ぎ落され、残ったのは監督のセンスの塊でした。

台詞はそれほど多くなく、感覚的な作品。

英語の字幕付きで観てみたいと感じました。

予告の映像に対し多少違和感のあった音楽は、平山の洋楽好きの設定で自然に馴染んでいました。

前日に『台風クラブ』を鑑賞したばかりだったので、まさか時代を超えて2日連続で三浦友和に出会うとは!

ふたりのおじさんがちょっと語り合うシーンは微笑ましくて良かったです。

紙の本やカセットテープや銭湯など、アナログ&昭和なものたちが、昔を懐かしく思い起こさせます。

便利な時代になりましたが、昔は昔の良さがありました。

石川さゆりファン、あがた森魚ファンは必見です。

10月以降、なかなか「好き!」と心から言える作品に出会えていません。

無意識のうちに自分の中の基準が変わったのかもしれません。

とりあえず上記の3本は良かったので、ぜひご覧ください。


2023年11月の映画

2023-12-15 | 映画
11月は、上映スケジュールにどうしても都合が合わせられないことが多く、鑑賞した本数は控えめでした。

そして、良いなと思えた作品数も少なめでした。

おすすめは、以下の1本です。

◎ロルフ・デ・ヒーア監督『悪い子バビー』(オーストラリア/イタリア、1994)

薄暗い部屋に35年間閉じ込められ、母親と暮らしていたバビー。

父と名乗る男が突如現れたことをきっかけに、外の世界に飛び出して行くお話です。

なかなかに個性的な作品でした。

公開30周年ということですが、当時は日本での上映はなく、今年が日本での初公開だったそうです。

なぜ日本での上映が見送られたのかは、冒頭で察することができます。

ここでは明かしませんので、ぜひ本編をご確認ください。

他にも、あまり上品とは言えない表現が数多ある作品で、決して万人向けではありません。

それでも、主演でバビー役のニコラス・ホープの演技力が素晴らしく高く、それだけで観る価値があります。

子供のような笑顔から狂気、そして魂の歌唱まで、様々な表情で魅せてくれて最後まで飽きることがありません。

なぜかハッピーエンドなのもカオス。

『時計じかけのオレンジ』に共通するような独特な空気感がありました。

少し変化球な作品を求める方にぜひ観ていただきたいです。





2023年10月の映画

2023-10-29 | 映画
今月はもう映画館に行かないので、10月の劇場鑑賞作品を振り返ります。

10本以上鑑賞し、自信を持っておすすめしたい作品は、0本でした。

……。

まあ、こういうこともあります。

基準には届きませんでしたが、名作だなと思ったのは、リュック・ベッソン監督の『レオン 完全版』です。

1996年に公開されたオリジナル版に、新たに22分を追加した完全版です。

私は初見でした。

知人が、すごく大好きで定期的に見返すほど思い入れのある作品だと言っていました。

この知人に以前おすすめされた作品がとても良かったので、私もいつかレオンを絶対観ようと思っていて、今回機会を得ました。

ジャン・レノ演じる殺し屋のレオンと、ナタリー・ポートマン演じる12歳のマチルダが少しずつ絆を深めていきます。

終始シリアスではなく、日常のほっこりするシーンもあり、飽きずに観られました。

子供と大人の狭間の魅力を放つナタリー・ポートマンが可愛らしく、時に妖しく、映画初出演とは思えない女優っぷりです。

今の時代ではアウトになりそうな描写がいろいろとあり、もうこのような作品は作れないのでは?と思いました。

つまらない時代になってしまいました。





2023年9月の映画

2023-10-09 | 映画
9月は観たい作品がそれほど多くなく、スケジュール的にも映画館に行けない日がまあまああり、鑑賞作品数はぼちぼちでした。

今回のおすすめは2本です。


◎寺井到監督『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』(日本)

マニアックすぎない内容でとてもバランスの良い音楽ドキュメンタリー。

シーナと鮎川誠は公私共にパートナーだったので、バンドのことも家族のこともすべて詰まっていました。

あたたかくて素敵な家族。

日本が誇るロックな夫婦だと思いました。

結婚して双子が生まれてから、覚悟を持って子供を両親に預け上京したふたりがすごいです。

上京するようすすめ、後に双子を東京に呼び寄せるまで博多で面倒を見たふたりの両親こそ真のロックなのかもしれません。

多くの人々に影響を与えてきたシーナと鮎川誠は、亡くなっても影響を与え続けるのでしょう。


◎今敏監督『パーフェクトブルー』(日本)

1998年公開のアニメ作品が4Kで蘇り、期間限定で上映されました。

今敏監督の作品は、『東京ゴッドファーザーズ』→『パプリカ』→『千年女優』の順で短期間に(DVDで)観ていて、本作は初見でした。

どれも素晴らしかったので期待大でしたが、予想を大きく上回る完成度の高さに衝撃を受けました。

ここまでスクリーンに釘付けになれる作品にはめったに出会えません。

公開から四半世紀を経て、シネコンの大スクリーンで観られたことに感謝!

素晴らしい体験でした。

基本的に鬱映画だと思うし、一部キャラの作画の不気味さもあったりして、大好きな『パプリカ』は超えられないですが、無駄が1秒もない素晴らしさでした。

物語は境界の描写が絶妙で、夢と現実とドラマの世界が複雑に交錯します。

主人公はアイドルという職業柄、作られたキャピッと感があり、また当時のアニメでよくある元気で前向きな王道女性キャラなので、時々イラッとしますが、それも含めて90年代の世界観を懐かしく思いました。

15禁なのでなかなかハードなシーンもあるし、倫理的に今の時代はアウトなんじゃないかと思われる部分もあったり、時代の流れの速さを痛感しました。

今敏監督が今もご存命だったら、一体どんな作品を作ってくれたのかと思いを馳せました。