カラヴァッジョ展、最終日に観に行って来ました。
写実的な明暗法を用いた、光と闇の対比は実に素晴らしかった。人物像は、忠実に外見を描くこと以上に、内面の性格や感情表現やストーリー性を緻密に描写して、堂々たる存在感のある人物に仕上げている。
意図的に静物と肖像の描写を変えたり、遠近法を使った構図や、大胆な筆致による色彩などは、スペインの画家、エル・グレコあたりに通じるものがあるのではと感じたがいかに。
(緻密さにおいては、両者かなりの違いはあると思うが)
カラヴァッジョは個人主義で、他の画家の作品を認めようとはせず、自分自身の作品こそが、世界で最も素晴らしいと思っている、他に類を見ない独創的な画家である。
なお、本展ではカラヴァッジョ自身の作品は12点で、残りはカラヴァッジョに関連する作家の作品である。
バルトロメオ・カヴァロッツィの『アミンタの嘆き』、オラツィオ・ジェンティレスキの『スピネットを弾く聖カエキリア』などは、今にも笛の音や、鍵盤の音色が聴こえてきそうな、音楽をテーマにした作品も中にはあった。
本展にて世界初公開となった『法悦のマグダラのマリア』は、殺人を犯して逃亡中に描いたとされる、長らく発見されなかった貴重な絵画である。
殺人者の計り知れない心境や、これまでの内省的な絵画を凌駕する、鳥肌が立つような恐怖を感じさせる、傑作をついに見ることが出来た。
次は、今年4月に発見された推定150億円の『ホルフェルメスの首を切るユディット』が来日することを願う!
『法悦のマグダラのマリア』
『アミンタの嘆き』
『スピネットを弾く聖カエキリア』
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