2016年全日本大学駅伝で、劇的優勝を果たした青山学院大学の原晋監督の講演を聞く機会があった。講演オファ、ナンバーワンと言われる監督だけに、興味深い講演だった。各種スポーツ競技の中で、一番ベーシックな競技にもかかわらず、日本陸上は記録の更新がない。現状を打破したいのが講演の主旨だった。
陸上競技の花形である100m競技は、10秒00を既に18年前に伊東浩司選手がバンコクで日本記録を出しているが、未だに更新はされていない。15000m、20000m、25000m、30000mは31年前、瀬古利彦選手の日本記録を超える選手が出ていない。そう言えば当時のスター選手、瀬古、宗兄弟の顔が浮かんだ。
三段跳びは、山下典史選手が17m15を飛んだのは30年前である。その日本記録も未だにそのままである。日本得意のマラソンは、14年前の高岡富成選手の2時間06分16秒が日本記録で、その後スター選手は出現していない。
原監督は、その原因について中体連、高体連、日本陸連の連携や観客動員数の多いJリーグへ選手が流れる危機を訴えていた。駅伝競技を全国で開催するとか、陸上競技を魅力あるものに変える工夫が必要であると締めくくった。
オリンピックでウサイン・ボルト選手の活躍が印象に残っているが、陸上競技への見方が変わった。