山形県庄内には人口約23万人が住んでいる。鳥海山に連なる出羽丘陵、月山と連なる朝日連峰の深い山脈に囲まれ、内陸部とは隔離されている。
1970年代に全国的な高速交通時代を迎えたが、庄内地方は取り残された。短期間での解消は先ず空港だった。一県一空港時代、これを突破するには大きな力を持ったリーダーと、庄内の団結だった。署名運動は勿論の事、100円カンパも実施された。コメが貴重な時代、三川町の「美田をつぶすな」運動は痛かった。
この誘致運動のキャッチコピーは、俯瞰する陸の孤島「庄内島」である。閣議で決定され、いよいよ工事かの時「浜中の地権者を守る会」が結成され反対運動が起きた。成田闘争を彷彿させる厳しいものだった。粘り強い説得で1988年にようやく起工式となり、1991年に一便が飛んだ。
それから29年が経過「陸の孤島」庄内島からの脱出は空路だけではない。庄内の高速道が小間切れ状態である。先日、日本海沿岸を貫通する「日東道」に朗報が入った。酒田みなとインターから遊佐鳥海まで12キロが23年度まで開通し、更に秋田県小砂川まで10.6キロが26年度に開通の見通しと国交省の発表があった。これで秋田県とはつながる事になる。
一方、新庄酒田道路も高屋道路から新庄まで17.4キロが間もなくつながると聞いている。長い暗いトンネルの先に明かりが見えてきた。
鉄路もつながれば、陸の孤島「庄内島」からの脱出は出来る。