Nonsection Radical

撮影と本の空間

6月13日 土曜 ワールド

2015年06月13日 | Weblog
今日は東京・中野まで足を運んでギャラリー冬青で開催中の加納満写真展「Layers of the Past」を見てきた。
開催期間中に関東へ戻ることになってラッキーと思っていた写真展だ。

写真というジャンルは多岐に渡っているけれど、個人的な好みは一枚で独立している写真が好きだ。
独立しているというのは、複数枚の写真である思いを伝える手法の逆という意味で、一枚で見せるのだけれど、写真が写し出す世界が完結しているという意味ではない。
一枚の写真で見せるのだけど、その一枚の写真を見ていると想像の世界が広がっていき、どんどんイメージが繰り広げられ、頭の中では複数のイメージとして認識されるような写真が好き。
簡単に言うと、一枚の写真を見ていると「いいなぁ、いいなぁ」と思いながら妄想がわいてくるようなもの。

そういう妄想を抱かせるような写真が日々並べられていく(開催中に展示写真が増えていく)のが今回の写真展。
前回の写真展の見せ方が「加納満ワールド」であったのなら、今回は「加納満フォトワールド」と言えるかな。
ワールドの方は、会場を加納さんの醸し出す世界観で包み込むものとすると、今回の写真展は、一点一点の写真が加納さんの写真世界をあらわす作品の集まり、簡単に言うと、お気にいりの写真を集めた写真展と言えるのではないか。

写真展というのは、一つのテーマによって会場の構成からセレクト、流れというものを作ることが多いようで、単純にお気に入りの写真を並べるというわけではない(らしい)。
だから時には、一つの写真としてというよりも流れの中で必要な写真群ととらえられる感じのするものがある気がする。
それはそれで一つのカットとして重要なものであるけれど、一つ一つがそれぞれの主張をする写真というのが個人的には好きなのだ。
一枚ずつ写真を見ていくと「どうよ?」と問いかけられているようで、一枚一枚「いやぁん、イイぃ、これぇ」と反応するのが気持ちイイ。
題名のない写真は、一つ一つが加納満さんの写真世界で、見ているとそこから物語が動き出していく。
見る側に拘束される情報は少なく、写真を見ることでしか考えが浮かんでこない世界。
それでその写真が好きなのか、良いと思うか自分で決める世界。
結構厳しい選択を迫られているのかもしれない。

時には、使ったカメラやレンズのことなど気にしないで、写真を写真として見てみたらいかがか。
「どうよ?」と写真が(うしろで仁王立ちする加納さんが)問いかけてきますよ。




五個荘 寺前・鯉通り 1
滋賀県東近江市五個荘金堂町
撮影 2014年12月13日 土曜日 16時05分
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