ウィーン西駅から地下鉄で中心に向かう途中の駅。
Neubaugasse。
ウィーンに来たことがある人なら、一度は通ったことがあることでしょう。
そのノイバウガッセ駅のホームに、こんな看板が掲げられていました。
Ungewollt Schwanger?
訳せば、「望まないで妊婦に?」、かな、あるいは「望まれずに妊娠?」。
つまりは、「あなたは望まない妊娠をした妊婦ですか?」、と呼びかけています。
こういう看板が駅の構内に掲げられるって、日本じゃ考えられない。
ウィーンでもまた、望まない妊娠に悩む女性が多いのでしょう。
http://www.wien.gv.at/menschen/magelf/baby/ungewollt.html
色んな支援機関があるんですね。
匿名の妊婦相談というのもあります。
なんか、当たり前にあります。
うーん。
こっちに来て、つくづく、日本って、「妊婦」へのまなざしがないんだなぁ、と感じました。
「望まない妊娠」についての相談をする機関がない。
病院に行くしかない。それしかない。
家族内の相談しかない。病院は、堕胎することしかしない。
こういうのはありますけど、、、
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/57/ninshin-q-a.html (広島)
http://www.city.sendai.jp/fukushi/kosodate/joho/0634.html (仙台)
行政サービスになっちゃうんですよね。
実際に、本当に専門的に教育を受けた人の支援を受けられるのかどうか。。。
上の看板には、こう書いてあります。
「すべての女性に、望まずに妊婦になる、ということが起こり得ます。しかし、そのことを恥じることは決してありません」
「恥じることはない」
どれだけこの言葉が妊婦に勇気を与えることか。
日本の問題は、こういう望まない妊娠が話題にならないこと。
その支援がほとんどないこと、あるいは機能していないこと。
学者たちが無関心であるということ。
「子育て支援」が、こういう女性に光を当てないこと。
日本は、妊婦にも、乳児を育てる若い母親にも、あるいは母子にも、非常に冷たい国と思えて仕方ない。
電車内のベビーカーの話なんて、こっちじゃ恥ずかしくて誰にも話せない。
「ありえない」。
もちろん日本の首都圏のあの狂った車内事情(ラッシュ)を考えると、そういう意見がでるのもうなずける。
でも、それに対する「激しい批判」がないことに、問題性を感じる。
誰もが、「人に大切に育てられて大きくなる」という経験をしてきたはず。
なのに、そのことを忘れ、「ベビーカー批判」をするとは、、、
今の時代、出産するのも、子どもを育てるのも、夫婦関係を維持するのも、本当に難しい。
家庭が壊れるということは、子どもにとって想像を絶するダメージとなる。
***
「望まない妊娠」が、こうやって、公共の場所で開示されている、ということに、驚くばかり。
望まない妊娠をしてしまった女性がどれほど重圧を感じているか。
そのことをもっと僕らも意識しなければいけない、と本当に強く思う。
そのためには、もっと女性が立ち上がって、社会参加する必要がある。
日本の女性たちが立ち上がらないと、、、
心底、そう思う。