本日、
44歳で、また一つ大きな夢が実現することになりました。
「いつか英語で書いた本を出したい」
そんな夢をずっと抱いていました。
日本語の本も大事だし、これからも日本語で書いていきたいけれど、
今の時代、やはり英語で書かないと、世界に僕らの声は届かないんです。
…
といっても、僕の外国語っていうと、ドイツ語がメインでして…。
英語なんて、受験以降、ほとんどやってませんでした(;´・ω・)
(そこそこ、論文は読んできましたが…)
ドイツ語と英語はかなり近い言語なので、そこはよかったんですけど、しかし、実際に本(学術書)の原稿を書くとなると、それはそれは、本当にしんどい作業でして、、、
そういうわけで、英語も一から勉強し直して、、、
…
5年以上かけて、4人の仲間と共に一冊の本を書き上げることができました。
それが、、、
Manabi and Japanese Schooling
日本語訳【学びと日本の学校教育】
であります\(^o^)/
僕の中では、拙書『学びの実践学』の欧米向けバージョンみたいな位置づけです。
日本人の学びを、「無と無我」という観点から、欧米人向けに書いたつもりです。
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かつて、死ぬほど嫌いだった「日本の学校教育」。
先生が嫌いというよりは、あの「空気」が嫌いでした。
均一的で、横並びで、「出る杭は打たれる」で、同調圧力がガンガンに効いている学校の内部。
意味のない行事のオンパレード。入学式、卒業式、学芸会、手つなぎ遠足、運動会、部活動、どれも、僕には苦痛でしかありませんでした。
今も、これだけ新型コロナが猛威を振るってるにも関わらず、学校現場では「卒業式をなんとかやろう」と奮闘しているという報道も多数あります。
日本の学校教育は、不思議な活動のオンパレード。
では、いったいなぜ(世界から見ると)不思議な活動がここまで重視されるのか。
その原理的なものを、日本のあらゆる文献から探っていく試み。
とてつもなくスリリングな挑戦でもありました。
この間、三度、国際学会でも発表をしてきて、世界の教育学者の反応も見定めつつ、「日本の教育の原理」を皆で記述していきました。
自分が「嫌だ!」と思っていた日本の学校教育の背景には、これまでの日本の思想が目に見えないかたちで、どっしりと存在していました。日本の学校教育を通じて、日本で生まれた子どもは、「日本人」になっていくんです。日本の思想を、様々なかたちで、子どもに教育しているのです。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というフレーズがありますが、まさに、そういう「みんな」という思想を、長い学校生活の中で、全ての日本の子どもが学んでいくんです。
その背景には、長い長い日本の思想史的な文脈があり、それをできる限り欧米の人たちに伝わるようにと、本当に頑張って執筆しました。
この本は、日本人向けに書いた本ではないので、翻訳本は、少なくとも自分たちからは出すつもりはありません。100年後くらいに、誰かが訳してくれるかもしれませんが…(汗)。
でも、この執筆を通じて、日本の学校教育のほぼ全ての実践を説明できるようになった気がしています。学校教育のほぼ全てが、日本の思想や哲学をベースとしているんだ、ということもはっきりと自覚できました。だから、もう、日本の学校教育を無駄に批判することはしないようにします。ちょっとやそっとでひっくり返るようなものではないんだ、と、そう悟りました。
僕が死ぬほど嫌いな「入学式」も「卒業式」も「運動会」も「掃除」も「道徳教育」も、全部全部、その「存在理由」が強烈にあるんです。批判しようにも、どうにもならないくらいに強烈なロジックが潜んでいるんです。
その存在理由となるものを、長い時間をかけて、記述しました。
…
しかも、今回の本のイントロダクションは、今、世界で最も注目されている著名な教育学者(教育哲学者)のビースタ先生が書いてくださいました。まさか、ビースタ先生が僕らの本のイントロダクションを書いてくれることになるとは…。(これ、何気にめちゃめちゃ凄いことでして…)
こんな本、もう二度と書けないなって思っています。
Amazonで本(ハードカバー)を買うととてつもなく高いのですが、Kindle版ですと、4805円で購入できます。
また、この本は、「Theorizing Education」シリーズの一冊に含まれていて、いわゆる教育理論全集の一つとなっています。(って書くと、なんか凄いことをしているみたいだけど…)
なかなかハードルの高い本ですが、興味のある人は是非読んでみてください!!
目次は以下の通りです。
Introduction Gert J. J. Biesta
Prologue
Acknowledgements
Part I The Concept of Manabi
Chapter 1 The Thought of Manabi: Learning in the Age of Globalisation Reconsidered
Masamichi Ueno
Chapter 2 The Analysis of Manabi: Learning towards Nothingness and Selflessness
Yasunori Kashiwagi
Chapter 3 Body and Mind in Manabi: Focusing on Kata and Shūyō
Tomoya Saito
Part II Practices of Manabi
Chapter 4 The Resonance of Minna's Voice in Japanese Schooling
Kayo Fujii
Chapter 5 Inclusiveness in/of Manabi
Taku Murayama
Chapter 6 Practices of Manabi in School
Yasunori Kashiwagi
Epilogue
二部構成になっていて、「Manabiの理論」と「Manabiの実践」で大きく区分されています。
で、何気に、僕だけ第一部と第二部を書いていたりします(苦笑)
(英語、できないのにね、、、(;´・ω・))
この4~5年の多くの時間をかけて、辛抱強く、頑張って書きました。
これで、英語の本はできました。
次は、ドイツ語の本を書こうと既に前を向いています!!
まだまだ、夢の先の夢を追いかけていこうと思っています。
まだまだこれからです。本当に…。