Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ホープ軒本舗@大塚 旧ホームラン軒。東京豚骨醤油の原点!

 

今夜は大塚のがんこ十二代目直系に行こうと決めていた。…が、今日も閉まっていた… がんこ十二代目直系大塚店はもうやっていないのだろうか。だとしたらとても悲しい。十二代目は僕の原点の味の一つ。この十二代目と出逢わなければ、ラーメンコレクターにはならなかったと思う。十二代目のおじちゃんが「もっと色んなラーメンがあるよ。食べにいったら?」という何気ない一言が僕の心を開かせてくれた。けれどその十二代目はもうなく、あそこの味を味わうにはこの大塚店に来るしかない。なのに、月曜でもやってない・・・ 

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というわけで、大塚駅北口前の【ホープ軒本舗大塚店】に行くことにした(もともとこちらにも必ず行こうと決めていたので)。このホープ軒、ずっと行きたいラーメン屋さんだった。

ホープ軒は旧貧乏軒、旧ホームラン軒。創業は1937年~38年(出典)で、難波二三夫さんという方が錦糸町で始めたラーメン屋さんらしい。なんと戦前のラーメンなのだ。東京のラーメンの歴史を語る上で欠かすことのできない超重要店だ。(まずはこちらを参照!)

いわゆる東京豚骨(トンコツ)ラーメン(~背脂チャッチャ系ラーメン)の原点となっているのがホープ軒なんだそうだ。佐々木晶さんも『ラーメンを味わいつくす』という本の中で、環七沿いにある背脂チャッチャ系の伝説のお店「土佐っ子」のルーツをホープ軒として、次のように述べている。

「『土佐っ子』のルーツをたどれば『ホープ軒』というお店に行き当たり、現在もある吉祥寺『ホープ軒本舗』がおそらくこの系統の元祖です。比較的新しいお店でこの流れをくんでいるのは『弁慶』など。これより背脂のトーンを少し落として、あっさりにしたのが恵比寿にある『香月』の系列・・・」(p.45)

土佐っ子の基になっているのがホープ軒本舗というのが佐々木さんの主張。ただ食べた印象からすると、ホープ軒は(たしかに後の背脂チャッチャ系ラーメンに影響を与えたんだろうが)どっちかというと、ラーメンショップに近い系統じゃないかなと思うんだけど。ホープ軒は背脂チャチャしてないし、ゲンコツ系のマイルドでキリっとしたダシになっているし。背脂チャッチャの原点にするには無理があるような気がしてならない。どうなんだろう?(*ホープ軒という名前の別系統のラーメンがあることは理解している(例えばここ)。ホープ軒という名前で幾つかの系統があるみたいだ)

いずれにしても、東京トンコツラーメンを語る上で欠かせないのが「ホープ軒本舗」だということは確かだ。あっさり和風鶏がらベースの東京中華そばとこってりトンコツ醤油ラーメン、東京には二つの大きな流れが歴史的にあるのだ。

もっと詳しく知りたい人はこちらのブログを読んでみてほしい!

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さて、ホープ軒本舗大塚店。

時代がどれほど変わろうとも、ホープ軒は大繁盛だった。やはり確かな人気店だ。店員さんのまぶしい黄色い服が印象的。大塚店は屋台っぽくて、お店だけど外で食べている感覚になる。お客さんは入れ替わり立ち代りやってくる。しかも常連さんっぽい人が多くて、それぞれ自分なりの注文の仕方をもっていた。僕みたいな初訪の人間はちょっと困るかも。

カウンターのみで、厨房は丸見え。メニューはラーメンオンリー。玉子は生、味付、固ゆでどれも50円。もやしの大盛りとかチャーシューの大盛りとかあるけど、基本は一つっぽい。

作り方は、まず器に少量のタレとねぎを入れて、味玉を入れる。そして、グツグツ煮込んだスープの表面の油(鶏油?)を器に入れて、寸胴を一度豪快にかき回す。そして奥の方から丁寧にスープを取り出して、器に注ぎこむ。結構作業は慎重だった。で、もやしとチャーシューとのりを入れて完成。

スープを一口飲んだ瞬間、なんかふわ~という気持ちになった。美味しいとか不味いとかそういう次元じゃなくて、東京トンコツラーメンの原点を強く感じさせるラーメンだった。タレ(かえし)はそれほど強くなく、ダシで食べさせるタイプの真面目なラーメンっていう感じがした(ちょっと化学調味料が強いかな)。ラーメンショップに近いかな?っていうのがファーストインプレッション。

初めて食べたのに、これまでずっと食べてきたような感覚になった。現存する東京トンコツラーメンのよけいな飾り物をとっぱらったのが、このホープ軒の味なのかな、と。そう、よけいなアクセサリーが一切ないのだ。シンプル。シンプルでいて、しっかりと味がある。そういうラーメンだった。「嗚呼、これが原点の味なんだ~」と思わずつぶやいてしまった(汗)

きっとこの味に惚れてラーメン好きになった人はたくさんいるんだろう。ネットを見ても、ここの味を今も大切に思っている人はたくさんいる。この味を批判したところで、喜ぶ人はいないだろう。そういう人は歴史を否定する人だ。化学調味料が多い!という批判も読んだが、それもラーメンの歴史を否定することになりかねない。無化調って言葉も流行ったが、僕自身化学調味料で育った世代の人間なので、それを偉そうに批判することはできない(美食家ではないので、いいんです、それで)。

ホープ軒のラーメンを味わえてよかった。とっても嬉しい気分になりました。僕らの先輩世代はこういう味を知って、ラーメンの世界に入っていったのかなと思うと、自然と笑みがこぼれてしまいました。 

 

通販もやっているみたいです。東京豚骨醤油の原点の味はいかが? 

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