遂に、遂に…
LUNA SEAのニューアルバムがリリースされました。
まさかまさかLUNA SEAの新作について語る日が来るとは…
だって、僕がLUNA SEAと出会ったのって、僕が中学生の時ですよ。今からいったい何年前だ?!っていう。その当時は、LUNACYって言ってましたけど・・・
最初、LUNACYを見た時、「うわー、すごい、カッコいい♪」って思いました。ロッキンfだったと思います。小さなインフォメーションでした。当時はまだ、こういうヴィジュアルのバンドが少なく、D'ERLANGERとZI:KILLくらいだったと思います。いわゆる「黒服系」、「耽美系」っていうか。DEAD ENDもよくこの一連の流れに入れられますが、ちょっと違うんですよね。ZOAというバンドもいましたが、これもちょっと違いました。黒いスーツを基調としたシックでクールで激しいファッションに身をつつんだお化粧系バンド。
で、1991年4月に、あのEXTASY RECORDからフルアルバムをリリース。インディーズCDはこれ一枚だったと思います。このアルバムの衝撃は今も忘れられません。この頃はまだチケットが比較的普通に取れた記憶があります(それでもSOLD OUT続出でしたが…)
その後、彼らは「超サクセスストーリー」を歩みます、といいたいところですが、僕の記憶だと、結構デビュー後に苦戦したバンドだったと思います。デビューアルバムの「IMAGE」は、当時としては、あんまり話題にならなかったような…。で、次の「EDEN」もあまり話題にならず… 「あれ、LUNA SEA、どうしたの?」って思った記憶があります。ちなみに、僕が一番大好きなアルバムはEDENなんですけど…苦笑。
ターニングポイントは、1994年の「ROSIER」だったと思います。その後、LUNA SEAのサウンドがどんどん確立されていって、後の「ヴィジュアル系ブーム」の牽引者として、トップクラスのバンド、「嵐を呼ぶバンド」になっていきました。ただ、その後、GLAYやLA'rc en cielの超メガヒットの陰に埋もれてしまった感はありました。が、この頃、もうどこを見ても、「LUNA SEAインスパイアバンド」ばかりが増殖し、どこをみても、LUNA SEA色で溢れていました。
けれど、徐々に「勢い」はなくなっていきました。今思えば、きっとこの頃に色んな問題が噴出したんだと思います。どのバンドも同じですけど、売れるまでは「ひとつ」になれるんです。が、売れると、それぞれ、個々のある種の「エゴ」が出てきます。当然です。一人ひとり違う人間ですから。2000年に、「終幕」を迎え、事実上の「解散」となりました(解散とは言っていませんが、僕的には「解散」だと認識しました)。
LUNA SEAの歴史は、そのまま「ヴィジュアル系」の歴史でもあります。「ヴィジュアル系」は、単純に誰が作ったとか、誰がパイオニアだとかは言えませんし、またそのジャンル自体もあいまいで、どこからどこまでがヴィジュアル系なのか、それも散々議論されてきました。ただ、ヴィジュアル系を確立したバンドは、まぎれもなくLUNA SEAだったと思います。
そんなLUNA SEAが、奇跡的な復活(REBOOT)への道を歩みだしたのが、2007年以降。これは、X JAPAN同様ですが、海外からの強い要請があってのことだったと思います。2000年以降、ネットの普及等により、世界が「VISUAL-KEI」に注目するようになりました。それは僕がドイツで肌で感じてきたことでもありました。今、欧州では、普通にレコード店にヴィジュアル系バンドのCDが置いてあります。かつての欧州では考えられないことでした。
レポ→NEO TOKYO @ BERLIN
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今や、LUNA SEAも「世界クラスのバンド」になっています。いえ、もともとLUNA SEAは海外志向が強くて、終幕以前にも、海外公演(アジア)を成功させてきました。メンバーみんなが海外のバンドに触発されてきたというのもありますし、もともと国際的な感覚のあるメンバーたちだったのでしょう。それゆえに、REBOOTはやはり必然だったようにも思います。
そして、そのREBOOTの道の一つの「集大成」が、今回の「A WILL」というフルアルバムなのです。復活後のLUNA SEAの活躍は、目覚ましいものがありました。その一つの「帰結」が、このアルバムなんだと思います。僕的には、「不完全燃焼で終わった2000年までのLUNA SEA」の本当の意味での旅立ちとなるアルバムだと思っています。真実は分かりませんが、「やり残したことだらけ」の終幕だったと思うんですね。やっぱり。それは、ファンも同じで、誰一人として、LUNA SEAの活動に満足していなかったと思います。(ゆえに、ファンが離れなかったんだと思います)
というわけで、最近さぼりつつあったCDレビューを書きたいと思います。
A WILL 全曲レビュー
01. Anthem of Light
神秘的なシンセ音で幕が上がります。こういう演出効果は本当にうまいです。そして伸びのあるSUGIZOらしいメロディーが響きます。きっとV系フリークなら、ここで「ん?!」ってなると思います。このメロディー、どこかで聴いたことがある!って。DIE IN CRIESのTO YOUのフレーズそのまんまなんです。さすがはDIE IN CRIES(苦笑)。いえいえ、それだけヴィジュアル系王道のメロディーで幕を開けた、ということだと思います。Aメロのドラムもまた、ヴィジュアル系の王道となるような感じで。サビは、ライブを想定しているのか、どこまでも広がりがあって、天空に音が浸透していくようなサウンドになっています。まさに、Anthemの名にふさわしい一曲だと思います。「さぁ、いくぞ」、と、RYUICHIが語りかけてくれています。
02. Rouge
2曲目にこの曲をもってきたか、という感じですかね。LUNA SEAにとって「二曲目」って大事なので(苦笑)。ファンならわかりますよね?! どうして、この曲を2曲目にもってきたのか。そこに、今のLUNA SEA観が見て取れるかもしれません。サウンド的には、どこか「オールディーズ」を感じるような懐かしさもあるんですが、これぞまさにLUNA SEA節ともいえるような音世界です。歌的には、MOTHER時代を彷彿とさせるかな。歌詞的には、まぁ、TONIGHT(苦笑)。ちょっとHな歌詞なんだけど、D'ERLANGERほどのエロさを感じさせないところはさすが(?!)。この曲はとにかくSUGIZOのテケテケを堪能しましょう、ということになるのかな。
03. The End of the Dream
これまたなぜ3曲目にこの曲?という選曲になっています。これまでのLUNA SEAを知る人間からすると、どうして三曲目にこれなの?って思うと思います。僕的には、これぞ、「新しいLUNA SEAのスタンダード」と言いたい楽曲編成になっています。2000年以前のLUNA SEAのエッセンスを残しつつも、サウンド的にはかなり現代的。というか、先鋭的。歌的には、相変わらずの「RYUちゃん」ってところかな。ま、この曲はもう既に知っている人も多いので、ここで熱く語る必要はないかな、と。ただ、どうしてこの曲が3曲目なのか。不思議で仕方ないのであります。個人的には、この曲の真矢のドラムにただただ惚れ惚れしてしまいます。カッコいいドラムですわ…(;;)
04. MARIA
ここにきて、雰囲気のあるメロウでやさしく、またどこまでも切ない愛の歌。大人の愛の歌、なんでしょうね。「重ねるたび 溺れさせて 空に帰る その日が来るまでは 溢れるまま 名前呼んだ 許されぬ その名を」っていう歌詞がすごいいいなぁって思いました。「許されぬ」というところがすごいキュンってなります。メンバーも40代。色んな経験をされてきたと思います。そういう「大人っぽさ」がキラリと光ります。これ、RYUICHIが書いたのかな?(そこが知りたい) REBOOT後のLUNA SEAって、実はこういう曲でその真価が示されているように思います。演奏力云々じゃなくて、こういう「歌の説得力」こそ、今の彼らの「実力」だと思います。
05. Glowing
この曲は、まずこれまでのLUNA SEAにはあり得なかったブルージーなギターに意識が向きます。「けだるいLUNA SEA」という新しい世界。渋い、というか。…っていうか、歌詞の中に「けだるい」って入ってた(苦笑)。いいんですか。こういう曲… ファンの中でも賛否両論になりそう。僕は、好きだなぁー。ヤバい。クセになりそう。スルメイカみたいな一曲、というか。。。歌詞も、あんま、なんていうか(・_・;) でも、何気にギターソロは生き生きとしているんだよなー。そこがLUNA SEAといえばLUNA SEAなんだろうけど…。やっぱ、けだるくない人たちなんだろうな、と。いつの年になっても、特別な誰かと燃え尽きて、枯れ果てるまで愛し合いたいって思う気持ちはありますよね。それが妄想であっても…
06. 乱
これもまたシングル曲ですね。個人的に、一番好きな曲です。EDEN時代を感じさせるさわやかでキャッチ―で、どこか切なくて。きっとバンドマンたちはこういうタイプのLUNA SEAの曲ってあんまり好きじゃないと思うんですよ。でもね、LUNA SEAの魅力って、この曲のような「甘さ」と「切なさ」にあるんですよね。今のV系バンドマンたちが忘れてしまっているもの、と言ってもいいかもしれない。サビの吸い込まれそうな気持ちよい旋律、なんてことないんだけど、聴き入ってしまう、そういう音世界の誘惑。この曲は、まさにそういう誘惑で満ち溢れています。大好き♪
07. absorb
これまた05と同様、実験的要素の強い曲。この曲は是非、海外で、電車の中で聴きたいかな。壮大で、広がりがあって、切なくて、メランコリックで。「巧さ」に還元できない「雰囲気感」があります。音を細かく聴いていくと、各パートでものすごい凝ったフレーズが至る所に入っていて、そこもまた気持ちいいんですね。3:30のブレイクするところが、僕的にはツボでした。綺麗です。LUNA SEAって、こういう美しい曲をやらせたら、もう無敵なんだなぁ、って思います。最後の「無限の海に」というところに、LUNA SEAへの愛を感じ取ることができます。エンディングのコーラスもまたこの曲の聴きどころになっていますね。「音楽ってやっぱりいいなぁ」って、再認識させられました。若手には奏でられない「円熟」の技が光ります。そして、若々しい!
08. Metamorphosis
ここにきて、激しく過激な曲が登場します。バンドマンたちも大興奮でしょう。早くて、カッコいい曲。これぞ、LUNA SEA!っていう。「カッコいいわ~」としか、言えない…。待ってました!、と。でも、よく聴くと、これまでのLUNA SEAをはるかに超える複雑さが混ざり合っています。とにかく巧いっす。これをライブで綺麗に再現しちゃえるわけだから、もう恐れ入ります。ギターソロもやりまくってます。…なんだけど、やっぱSUGIZO~って感じで。ソロの後の「間」も、また彼らの美学なんでしょう。さりげなく、色んな風景をたたみかけるように見せるところは、もうさすが、としか言いようがないです。あと、イントロ・アウトロのギターのカッティングは、LUNA SEAならではだと思います。そして、ツーバスですね。最後のツーバスは、やっぱたまんないです。はい。
09. 銀ノ月
タイトルだけを聞くと、「え? 石月さん?」って思ってしまう…(分かる人にしか分からない)。これをバラードと言っていいか分からないけど、LUNA SEA流のバラードソングといっていいでしょう。これはもう黙って、ただただ聴き入りたい曲です。
10. Thoughts
いよいよアルバムのクライマックス。この曲をここにもってきた意味は分かる気がします。個人的には、「DESIRE」を彷彿とさせるものがありますが、でも、今のLUNA SEAらしさで溢れています。サビのメロディーの美しさ・斬新さ・新鮮さはさすがだなあ、と思うばかり。僕ら世代からすれば、この曲を聴くと、「うんうん、これだよ~」ってなりますが、今の若者たちはこの曲を聴いて、どう思うんでしょうね。今のV系バンドサウンドからすれば、「キャッチー過ぎる」ってなるんでしょうかね。でも、「シャウト」だけが「叫び」じゃないんですよね。歌でも叫べるわけです。この曲は、歌だけど、叫びになっているように思えます。いかがでしょう?!
11. Grace
アルバムフィナーレとなる三拍子の美しい楽曲。月に戻っていく感じさえします。「お疲れ様でした!」的な。カーテンコールかな。この曲もまた、LUNA SEAらしさに溢れる愛いっぱいの楽曲になっています。最後の「見つけられたよ 探してた 空を」、という歌詞がなんとも印象的です。まさに「エンディング」。最初の曲で、「君と行こう」と歌い、そして、この曲で、「終着」、と。旅を終えた気分になりました。
***
ふー、頑張って書きました。楽しかった♪
全体的には、「これぞ、LUNA SEA!」って感じでした。どこからどこを切っても、LUNA SEAワールド炸裂、という感じで。そこに、これまでの彼らのキャリアが見事に反映されていて、にやにやでした。
これで書き終わればそれでいいんですけど、、、汗
一つ、考えてしまうことがあります。この時代のバンドは、かなり復活しています。X JAPANにしても、D'ERLANGERにしても、DEAD ENDにしても。この「復活」って、いったいどういう意味があるんだろう、と。もちろんファンとしては嬉しい限りです。でも、当時のあの勢いはやはり感じられない。やや冷めていうと、「やっぱりあの頃が黄金時代だったんだ」と思ってしまう自分がいます。
BOOWYが復活しない理由もなんとなく分かってきました。「あの頃」をそのままにしておく、と決意している氷室さんの思いも。きっとね、「復活」それ自体は、できるんだと思います。でも、「あえてしない」。氷室さんが出した答えがこれです。LUNA SEAの今回のアルバムも、僕個人としてはとても嬉しいです。でも、あえて書けば、「あの頃のようには聴けない自分」がいるんです。「あの頃」が眩しすぎて。今のこの疲れ切った(?)自分には、心の底から響いてこない、というか。
新しいファンのためにやっている、と思えば、それで全部がすっきりします。僕が敢えて聞く必要もない。でも、やはりきっと、このアルバムを真剣に聴いている人って、かつてのファンたち(=スレイブ)だと思うんです。でも、そのスレイブたちも、もうみんなきっと今を必死にいきる「お母さん」になっている年齢です。きっと、そんなお母さんたちは、今、このアルバムを聴いて、あの頃を思い出しながら、「さ、今日も、頑張ろう!」って思うのでしょう。…つまりね、結局は、かつてのファンたちが喜んでいるんだと思うんです。
バンドとして、復活をした方がいいのか、それとも伝説のままにしておいた方がよいのか。それは、きっと答えのない問いなんだと思います。僕が死ぬほど愛したZI:KILLは復活しませんでした。ファン心理としては、復活してほしくないんです。「ROCKETに乗って、飛んでっちゃった」、それでいいんです。
バンドの行く末、あるいは、バンドの「終わり方」ってどう考えたらいいんだろう、と考えてしまいました。なんか、暗い終わり方になってしまった…(・_・;)
最後に、どうぞ~♪