10年前・・・
僕は10年前の3月に生まれて初めて海外に行った。22歳の時だった。
しかも、その初海外が初留学。初海外で、ドイツ南部のコンスタンツ大学の交換留学生としてフランクフルトへと飛び立った。
恥ずかしい話だが、その当時、ドイツ語も(読みや文法はある程度マスターしていたが)ほとんど話せないレベルだった。本当にダメだった。ドイツに着いてから、コンスタンツ(目的地)に行くのでさえ、すごく辛い経験だった。レーマー広場の公衆電話から国際電話で実家に電話したときに、思わず涙がこぼれたのも今となってはいい思い出。誰も知っている人のいない異国の世界に一人というシチュエーションは、本当に不思議な経験だったなぁ・・・
今となってはドイツは第二の故郷、第二の母国って感じだし、日常的な言葉で困ることはほとんどない。だが10年前の僕は何にもできず、何も話せず、たじろぐことばかりだった。「言葉が通じないと本当に何にも通じないんだ・・・」と思った。
けれど、なんでか友達ができちゃうのが僕のようで、暮らし始めて1週間足らずで友達が二人できた。エストニアのアンドロス(同い年)とシリアのアマール(4つ上)だった。この二人は海外で出会った一番最初の友達だった。家に遊びに来てくれたときは死ぬほど嬉しかった。「孤独じゃない」と思えた瞬間だった。アマールは中東の王子さまって感じでちょっと他の人と違った。
また、暮らし始めて二週間でドイツ人の女の子(二つ上)と友達になった。その子と一緒に映画を見に行ったが、どんな内容だったかは全然覚えてない(苦笑)。っていうか、全然内容が分からなかった。すごく面倒見がよくて、日常的なドイツ語を実践的にたくさん教えてもらえた。
で、10年前の5月頃、少しずつドイツの生活に慣れてきた。音楽好きの僕がようやく音楽に目が行くようになった頃、あるパーティーに誘われたので、二つ返事で参加することにした。が、とはいえ、2ヶ月でドイツ語が上達するはずがない。パーティーに行っても、他の人のように楽しく会話をすることができず、ちょっといじけてしまっていた。
そんなときにふと耳に入ってきた歌が、Modern-Talkingの「You're My Heart, You're My Soul」だった。
海外で初めて「かっこいい!」と思えた一曲だった。だが、このとき、誰の何という曲なのかを誰かに質問することができなかった(汗)。「この曲、かっこいい!」とは思いつつも、いったい誰が歌っているのか、なんというタイトルの曲なのか、分からないまま帰宅することになってしまった(自信も失っていたので・・・ 自信を失うと積極性も奪われてしまう・・・)。
その後、しばらく何の発展もなく、「嗚呼、あの曲はなんていうんだろう?」と悶々としていた。
しばらくして、自分の部屋でラジオを聴いていたら、たまたまチャンネルを変えていたら、You're My Heart, You're My Soul~♪というメロディーが流れていた。 曲が英語だったし、とりあえずyou are my heartとメモをして、CD屋さんに向かった。で、店員さんに、メモを見せて、歌ってみた(必死)。そうしたら、店員さんはにこっと笑って、「Ach, Modern Talking! Ja, Warten Sie bitte」(ああ、モダントーキングね。はい、ちょっと待っててください)と言って、一枚のCDをもってきてくれた。
それが、上の写真のModern-TalkingのBACK FOR GOODというアルバムだった。
このアルバムは、ドイツのポップス界の代表的アーチスト「モダントーキング」の七枚目のアルバムであり、しばらく活動休止していた後の復活メモリアルアルバムだった。メモリアルだけに、これまでのモダントーキングの代表作をリ・レコーディングしたベストアルバムになっていた。
このアルバムを聴いた時、僕はたまげてしまった。それまでほとんどV系しか聴いていなかった僕がヨーロッパのサウンドの魅力にとりつかれた瞬間でもあった。(ま、当時もOpusⅢとかエニグマとかユーロビートなどを好んで聴いていたから、下地はあったんだろうけど・・・)
このアルバムの三曲目のCHERI CHERI LADYは本当に大好きだった。切なくてメロディアスでセンチメンタルでノリがよい。この曲に限らないが、どの曲も切なさ漂う極上ポップばっかりだった。
Modern-Talkingはもう残念ながら「最終アルバム」をリリースしており、今後の活動はなさそうだ。が、いつかまた活動してくれることを祈っていたりする・・・
SEXY SEXY LOVERもいい曲です。アレンジもGOOD。
こんなアレンジをしてしまうのもヨーロッパならでは!?
Modern-Talking VS ScooterのWin the Raceの映像
あれから10年。ぶっちゃけ、太ったなぁ~(大汗)。でも、当時抱いていた夢は結構叶ったと思う。「先生になりたい。ドイツ語も教えたい。翻訳もしたい。大教室で講義がしたい・・・」。当時の僕はすごく頑張っていたと思う。今の僕がもし10年前に戻れるなら、当時の僕のことをすごくすごく誉めてあげたい。もちろん辛いこともたくさんあったし、嫌なこともあった。強烈な孤独も感じた。けれど、そういう苦労を超えてきたからこそ、今の自分があるんだと思う。ま、今の僕も全然まだまだなんだけど、もっと上を目指さなければならないんだけど・・・(汗) でも、10年後に本当にこうなっているとは・・・(でも、考えてみたら、2000年に大学を卒業して、あっという間に「先生」になっちゃった。まぁ、小中高とかだと当たり前の話だけど、院生が就職するのはたいへんなんだな・・・)
10年前の僕は、今の僕を見てどう思うんだろうな。やる気をなくすかな? それとも喜んでくれるかな。
10年後の僕に今の僕を誉めてもらえるように、今日、明日をしっかりと生きていきたいな。他の誰でもない自分に誉めてもらえるように!