ガルネリウス、待望のニューシングルがリリースされた。
ガルネリウスをV系のカテゴリーに入れていいのか、よく分からないが、kei的には超お気に入りのバンドの一つ。 ジャーマンメタルっぽいジャパニーズメタルバンド?! なんかどこかドイツゲルマン魂を感じるメタルバンドなのだ。
これまで四枚のアルバムがリリースされてきたが、どれも超ハイクオリティー。演奏力は半端じゃなくて、日本ロック界の名盤になりそうなアルバムばかり。曲もサウンドも技術も情熱も半端じゃないバンドだ。
ただ、これまでの四枚を聴いていると、少し音楽の幅が限定されすぎているようにも見える。巧いっちゃ巧いんだけど、どうも「メタル」に縛られすぎているというか。これだけの技術と才能があるのだから、もう少し「外」の世界に向けて発信してもいいんじゃないかな、と思っていた。
そして、遂にその「壁」をぶち壊すようなシングルが登場したのだ。
この四曲入りの小さなマキシシングルはこれまでのガルネリウスのイメージを払拭する超強力な曲ばかりだ。誤解を恐れずに言えば、超技巧派メタルV系バンドのガルネリウスが王道V系に殴り込みをかけた、みたいな感じだ。とりわけ看板曲の1曲目と4曲目は、その辺のヴィジュアル系よりもヴィジュアルチックな曲になっている。もちろん演奏力は半端じゃないので、最高級のV系サウンドになっているといっていいだろう。
遂にガルネリウスも、「人に聴かせるため」の楽曲作りの段階に入ったのかな、と(たいへん偉そうだが)思う。僕もかつて技術の優れた名プレーヤーのポテンシャルを備えたギタリストやドラマーとたくさん出会ってきた。技術派のバンドマンは演奏することに関してはとても素晴らしいのだが、根本的なところが欠落している場合が多かった。「上手きゃ文句ないんだろ?」というような価値観がどこかにあり、それが聴き手に伝わってしまうのだ。
心を打つ音っていうのは、必ずしも上手な演奏によるものであるわけではない。もちろん技術があるに越したことはないが、技術がいくら他よりも優れていたとしても、「音を通して何かを伝えたい」という思いがなければ、「音楽」にはならないのだ。かつてのガルネリウスは、どこかそういう閉塞感が感じられた(もちろん音楽のクオリティーはずば抜けて高いのだが)。
今回のマキシシングルは、時代や人の声に謙虚に耳を傾けた作品に仕上がっている。とりわけ一曲目のALSATIAは、ギターの早弾きを極力抑えていて、サウンド全体の雰囲気を優先している。Aメロなんかは、ゴリゴリのギターリフとHIDEちゃんかと思うようなシャウトボイス、そして緊張感を煽る妖しいキーボードが見事に重なり合っているのだ。サビのメロディーはまさに「泣き」のメロディーとなっていた。
恐らくコアなガルネリウスファンの人にとっては、不満の一枚になってしまうだろう。これまでのガルネリウスのようなハードさやギターの早弾きは完全に抑えられている。だが、(逆転の発想だが)抑えられているからこそ、音楽そのものの説得力が増している。ガツンとくるインパクトのある楽曲になっているのだ。
4曲とも全然違う感じの楽曲だが、どれも紛れもなくガルネリウスのサウンドになっている。ファンじゃなくても、聴いて決して損をすることのない一枚といっていいだろう。僕はガルネリウスのようなバンドが大好きだ。これからも熱苦しいほどに熱いバンドでいつづけてほしいと願う。