Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ミシュラン星獲得以後のラーメン店の苦しみ

2015年。

ラーメン界に朗報が届きました。

巣鴨の超人気ラーメン店「蔦」が、ミシュランで星を獲得したんです。

日本のラーメン店としては、初の快挙で、多くの人が喜びました。

(僕としては、ミシュランにそれほど意味を見いだしていないので、あれでしたけど…)

ずっと、B級グルメ、あるいは、サブカル的存在として扱われていたラーメンが、ミシュランみたいな料理界の権威に、認めてもらえる、というのは、多くのラーメン好きの人や、評論家たちにとって光栄なことだったと思います。

蔦、及び蔦の葉は、ミシュラン星獲得以後、連日、大盛況だったそうです。

が、

にもかかわらず、

休業することになったそうです。

(*本店は引き続き営業するみたいですが…)

これには、僕も驚きました。

蔦のブログでは、こんな文章が掲載されています。


突然のご報告になりますが、2号店蔦の葉と本店二毛作の味噌の陣は年内の営業で休業させていただきます。

人手不足もありますが、苦情も多く、巣鴨から蔦グループは撤退を考えて今の結論に至りました。

毎日のようにご意見の電話があり、それに対して現在も色々とやっております。
一つ改善すればまた新しいことを言われ続けていくのもなのかもしれません。

現在物件も平行して探しておりますので、良い物件が見つかりましたらそこで一から始めようと考えております。

蔦の葉は約1年半と短い期間ではございましたが、沢山の御来店誠にありがとうございました。

年内27日(日)で営業終了致します。

引用元はこちら


この文章の行間から、店主さんの苦悩というか、苦しみが伝わってきます。

「苦情も多く」、というその一言に、店主さんの苦しみが表れているように思いました。

蔦って、ホント、行列が長くて、しかも周辺はわりと地味な場所で、、、

苦情が出るのも、なんとなく分かるんです。

その昔、麺屋武蔵もとんでもない行列ができていましたが、場所柄、蔦みたいなことにはならないで済みました。

(それでも、苦情はあったのかもしれませんが、、、)

また、「一つ改善すればまた新しいことを言われ続けていく」という言葉も胸を突き刺します。

その根っこに、「ねたみ」や「嫉妬」があるのかもしれません。

自分の店に客は全く来ないのに、隣近所のお店がミシュランで星を取り、連日のように行列が出来ていたとしたら…。

相手の側に立つと、それはそれで、少しは気持ちが分かります。

どんな事情があるのかは分かりませんが、栄えある星を取得したことで、移転を余儀なくされる、という矛盾。

店主さんの苦悩を考えると、僕も胸が痛みます。

と同時に、

「凄いラーメンを出しても、その場所に居られなくなるってこともある」、と思わされました。

日本ですから、「出る杭は打たれる」というのもあるかもしれません。。。


そういえば、ロックンロールワン(69'N ROLL ONE)というお店も都内から撤退しました。

どんな理由があったのかは分かりません。

が、もしかしたら、蔦と同じような理由があったのかもしれません。

人気店になるというのは、ラーメン屋さんの憧れです。

が、実際に人気店になるとなったで、大変なんだなぁ、と改めて思わされました。

僕は今、「老舗店」を中心に食べ歩きをしています。

老舗店は、必ずしも、「ブレイク」しているわけではありません。

地味に、地道に、人気を獲得していき、大騒ぎされない程度に、人気を持続しています。

メディアやマスコミにチヤホヤされることもなく、静かに、人気をキープしているんです。

蔦の今回のことを考えると、やっぱりラーメン屋さんは「老舗店」をモデルに、それを励みに頑張るのがベストなのかな、と思いました。

もちろん、都内や大都市圏で大成功して「ラーメン・ドリーム」を手にすることを目指すことも否定しません。

それはそれで素敵なことだと思います。

でも、マスコミ的に大成功したお店の店主さんは、やがて厨房から姿を消します。

ラーメンが好きで、ラーメンを作りたくて店主さんになったのに、厨房から消えて、経営者になってしまう現実。

それをどう考えればいいのか。

経営者になって、チェーン展開、ビジネス拡大という路線があってもいいけど、

やっぱり、地道にラーメンを作り続けて、老舗店になっていくというのが、古今東西、変わらない王道なんじゃないかな、と思うんです。というか、思わされます。

これは、今の自分にも少し当てはまる気がして、、、

本や論文を書くことが好きで、そういう仕事をやっていますが、一冊本が当たると、本や論文を書くこと以外の仕事がたくさん入ってきてしまい、一番したい執筆活動や研究活動ができなくなるってことはあります。

本の世界でも、大きな賞を取って、大成功を収める人がいます。学術的に優れた本を出して、学会や団体から表彰されることもあります。それはそれで光栄なことですが、表彰された結果、テレビ出演やタレント活動に向かってしまう人も多くいます。

なんといいますか。

成功が成功というわけではなくて、また、成功しないことが成功しないことでもなくて、、、

何を目指しているのか、そこに尽きる気がします。

老舗店の店主さんの生きざまを見ていると、ホント、そのことを考えさせられます。

ま、いずれにしても、きっと蔦は蔦で、今後も素敵なラーメンを出してくれることでしょう。

そして、いずれは過度な行列も解消されることでしょう。

その時にまた、このお店のラーメンをじっくりと味わいたいなって思います。

このお店の店主さんとは面識も何もありませんが、一人のラーメンフリークとして、蔦の今後の活躍を願っています。

こんな苦境に負けるお店だとも思っていませんが、、、

 

頑張ってください☆

コメント一覧

ぽん
こんにちは。
 蔦の店主さんが代々木のめじろで働いていた頃、めじろの味噌ラーメンが大好きで月2回ほど通いました。平日の夜だったこともあり、客はいつも2~3人ほどで、東京で一番美味しい味噌ラーメンなのだからもっと注目を浴びてもいいのにと不思議に思っていました。
 ロックンロールワンもオープン直後からよく通い、客が僕一人で、あの店主さんと一対一で無言の対峙をする緊張感を味わったりもしました。
 めじろにしてもロックンロールワンにしても当時は、もっと人気店になって正当な評価を受けてほしいなぁと思っていましたが、いざ超人気店になると、自分だけで独占していたものを取られてしまった嫉妬に近い気持ちが起きて、ラーメンごときであんなに行列することに冷ややかな思いを持っている器の小さな自分がいました。
 でも、蔦やロックンロールワンのような店主さんたちのおかげで、ラーメンがより多くの人たちに認められるようになったのは有難いことですから、これからもいい方向に向かうといいですね。
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