シュニッツラーは、僕が大好きな思想家の一人。
彼の人間論に耳を傾けてみよう。
シュニッツラーの人間論(翻訳)
たいていの人間は、屋敷(Lebensvilla)の真ん中の階に住んでいる。その階の人間は、素敵なストーブやそれ以外の様々な心地よいものを用意して、快適に住居環境を整えている。
身震いするほど恐ろしい幽霊(Gespenster)のいる下の階の部屋に下りようとする人間はほとんどいないし、眩暈を引き起こすほど深いところや遠いところを眺めることのできる塔のてっぺんによじ登ろうとする人間もほとんどいない。
もちろん、好んで地下にいようとする人々もいるにはいる。そういう人にとっては、光や責任よりも、闇や恐怖の方が良いのである。
また、何度も建物のてっぺんに登っては、永遠にたどり着けそうにもないはるか遠方への眺めに屈してしまう人間もいる。
だが、最も悲しむべきは、地下と頂上の間をせわしなくかけ登ったり、かけ下りたりするような人間であり、「本来住まうところ」と規定された空間をホコリまみれにし、その空間を荒らすような人間である。
僕は、きっと彼から見れば、「最も悲しむべき人間」なんだと思う。右へ、左へ、上へ、下へ、前へ、後ろへ、せわしなく動き回っている。たいした成果も収められず、いつもせかせかと動き続けている。
足元はいつもグラグラ。大切な場所(仕事場や自宅の部屋)はいつも埃まみれ。大風呂敷を広げては、後で途方に暮れる。失敗ばっかりで、ちっとも失敗を次に生かせない。下に行けば、上にあこがれ、上に行けば、下に憧れる。
きっとシュニッツラーは僕みたいな人間を一番侮蔑したんだろうな・・・
ただ一つ、自信をもって言えることは、真ん中の階で安住したくないという気持ちは誰にも負けない!ってことかな。いいことか悪いことかは分からないが、いつでも「あたりまえ」を疑って、自分の意志で考えて生きている(気がする)。
もう少しゆとりをもって、あくせくしないで、手を広げないで、着実に生きていきたいと思うんだけど・・・