まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

マルサの女(1987)、デジパチ大当りのシーン

2011-10-19 18:05:58 | 懐かしのパチンコ・パチスロ映画

最近はよく知らないが、一昔前の映画やドラマなどでは、パチンコ屋の店内での撮影シーンがよく登場していた。主人公が気晴らしにパチンコを打ったり、張り込み中の店に容疑者が現れたり、刑事が情報屋からネタを聞き出す場面などで、街のパチンコ屋がロケ地として頻繁に使われていたのだ。

1987年に公開された「マルサの女」(故・伊丹十三監督作品)は、「脱税」を巡る国税局・税務署と脱税者との生々しい攻防を描いた名作である。脱税の代表格といえばパチンコ店…という事で、やはり本作でもパチンコ屋での撮影シーンは登場する。


港町税務署の税務調査員である板倉亮子(宮本信子)は、管轄区内のパチンコ店「大幸商事」(だいこうしょうじ)の脱税調査を担当する。パチンコ店のオーナーが店の売上金を自分の懐に入れる、という手口は、特に個人経営型のホールでは日常茶飯事で行われていた。

亮子は、脱税の確たる証拠を掴むため、密かに「札(さつ)の仕込み」を行い、大幸商事の経営するホールに向かう。トイレで数枚の一万円札に赤いマジックで印をつけ、ポラロイドカメラで撮影する。こうすれば、店の売り上げをオーナーがちょろまかした時に、足が付く可能性があるからだ。ベテラン署員(大滝秀治)曰く「原始的だけど、あれ、案外効くんだ。」

店員の目を気にしながら、印を付けた万券を店内の両替機に仕込む亮子。一万円札を入れると、百円玉10枚と残りの9000円が出てくるタイプの両替機だ。せっかくパチンコ店に来たのだから、少しぐらいは打っていこうと、店内を歩く亮子。
「ピピポパッパ」「キューン、キューン、キューン」と、甲高い電子音が響き渡る営業中のホール。この電子音は、西陣のハネモノ「ハレーすい星ロボQ」のものだ。

(西陣・ハレーすい星ロボQ)

狭い通路を歩きながら店内を観察する亮子。客は大入りで大繁盛の様子。背後には、マルホンの一発台「プリズム」の姿も見える。

(マルホン・プリズム)

客でごった返す店内を暫くウロウロした後、亮子は一台のデジパチに腰を下ろす。三共のドラム型デジパチ「フィーバーエクセレント」である。同社の人気機種「フィーバー10スペシャル」の後継機だ。

(三共・フィーバーエクセレント)

亮子が打ち始めると、「スロット」と書かれたスタートチャッカーに玉が入り、派手な電子音と共にドラムが回転する。しかし、ドラムは何度も回るが、肝心の当りは来ない。次第に玉は減っていき、最後の一発まで打ち込んでしまった。

さぁ、帰るか…と席を立つ亮子。しかし、歩き出して間もなく、背後の「異変」に気付く。何と、最後に弾いた玉がスタートチャッカーに入っており、しかも、その玉で見事に大当り(フィーバー)しているではないか!目を丸くして驚く亮子。慌てて台に戻ると、予期せぬ「大逆転劇」に大喜び。すぐに店員もやってきて、「おめでとうございます!」と、ドル箱を台の下に置く。内偵で思わぬご褒美を頂き、気分の良い亮子であった。


とまぁ、このようなパチンコファン垂涎(?)の場面が登場する訳だ。因みに、その後の展開は…


翌日、亮子は再び大幸商事に出向き、社長の蔵(伊東四朗)に聞き取り調査を行う。亮子は、机の上に置いてあった黒いバッグに気づき、社長に中を調べさせると、金の入った封筒が出てくる。幾ら入っているのか、社長に一枚一枚手で数えさせる亮子。

亮子「これは、何のお金ですか?」

社長「これは一寸買い物したかったんで、家から持ってきた金ですよ。私の小遣いです、いうなれば!」

亮子「これは、私が昨日このお店で使ったお金です。(一枚の万券の端に付いた赤マジックの印を指して)ここに私が付けた目印があります。このお金が、どうしてここにあるんですか?」

社長「さぁ…?」

亮子「売り上げを除外しておられますね。」

社長「…(「しまった」とばかりに、顔が紅潮している)」

 

そして、昨日の売り上げが入っていた店内の電子金庫をチェックすると、案の定、封筒に入っていた金額分が、本来の売上額から差し引かれていた。社長が店の売上金をポケットに仕舞い込んだのは、もはや明白であった。

追徴金が5億以上になるかも知れないと言われ、我を忘れて逆上する社長。「この俺が、どんな悪い事したっていうんだ!」と開き直った挙句、店の花輪をなぎ倒して「店でもなんでも、持って行きゃいいんだ!」とヤケになり、人目もはばからず泣き叫ぶ始末。

流石の亮子も、それ以上は追及する気になれず、今日のところは…と引き上げる。すると、さっきまでワンワン泣いていた筈の社長が、ケロリとしている。傍らの税理士が「なんだ、芝居ですか、あきれたなぁ」と言うと、社長は「芝居じゃない、ホントに泣いたんだ。一泣きで百万でも二百万でも助かるなら、幾らでも泣いてやる!」と、手をパンパン叩いて、一仕事終えたという表情だ。敵もさるもの・・・である。


以上、本作のパチンコにまつわる場面を振り返った訳だが…一般の映画ファンにとっては、単に税務署と脱税者とのやり取りを描いたワンシーンに過ぎないかもしれない。しかし、昭和末期のパチンコに興味がある人間が見れば、非常に「香ばしい」状況の連続である事に気づくはずだ。

惜しむらくは、この場面を撮影したロケ地のパチンコ店がどこの何という店か、いまだに掴めていない点である。まぁ、こういうマイナー情報は、ある日突然に判明する事もあるので、焦らずじっくりと情報収集を続けて行くことにしよう。

※追記…このパチンコ店のロケ地は、現在も映像を検証中である。今のところ、状況証拠から小田急線・経堂駅南口の「パチンコミナミ」が怪しいのだが、まだ確証はなない。

※さらに追記(2014.12.6)…その後の調査により、ロケ地となったパチンコ店は、京王線・千歳烏山駅北口(西口)の「6番街商店街」にあった、「シルクロード」(閉店)というパチ屋の可能性が高い事が判明した。詳しくは、コチラの記事を参照。

★映画「マルサの女」(1987年)、パチンコロケ続報
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/a187feffb60e1a2afa1f13e1600fc156

という訳で、今回は80年代の邦画名作「マルサの女」を、レトロパチンコ的な観点から振り返ってみた。