謹賀新年。本年も当ブログを御贔屓の程、よろしくお願いします。
遅ればせながら、新年の挨拶を手抜きタップリで済ませた所で(笑)、本年最初の更新は、平和の新要件ハネモノ「玉ちゃん倶楽部」(1992年)。
★賞球7&13 ★最高15ラウンド継続
干支の巳年にちなんで、「レッドスネークカモン」(平和)や「スネークマン」(奥村)あたりのハネモノにする案もあったが、なぜか玉ちゃん倶楽部を取り上げたくなってしまった。まぁ、それだけ記憶に残っている台なのだが…。
本機のゲーム性を説明する前に、メインキャラである「玉ちゃん」について、少々触れておきたい。
「玉ちゃん」というと、銀玉をモチーフにした平和のイメージキャラクターとして、昭和~平成と長く活躍していたが、ここ最近はあまり見かけないようだ。
マニアックライター・神保女史の著書「パチンコ年代記(クロニクル)」によれば、1986年(昭和61年)頃から平和のカタログやポスターに登場しており、「ラッキー玉ちゃん」という4コマ漫画のキャラから始まったという。
個人的には、1990年の旧要件デジパチ「ラッキーボーイ」で、アタッカー内部に構えていた玉ちゃんのヤクモノが印象的だ。玉ちゃんが初めて実機化されたのが、この機種である。
(オマケチャッカー機「ラッキーボーイ」のアタッカーにいる玉ちゃん。シルクハットを被っており、大当り中はVゾーンに入るとバンザイする。デジタル上部にアタッカーがあり、下段オマケチャッカーまでのゲージに難アリの「問題機」としても知られた。)
「1990年」という年は、私がパチンコ道に入り込んだ記念すべき年である。実は、この年に登場した幾つかの機種には、シルクハットを被った玉ちゃん風キャラが盤面に描かれている。例えば…
ニコちゃんクラブ2号店(京楽、デジパチ、1990年)
すし五郎(西陣、ハネモノ、1990年)
ビッグスリー(マルホン、一発台、1990年)
このように、複数メーカーから同年に出た機種において、見事にシルクハットキャラが被っている。つまりは「流行り」なのだが、その中で明確に「パチンコ玉」をモチーフにしたキャラクターは、やはり平和の「玉ちゃん」という事になろう。
他社にすれば、本家の平和をさしおいて、あからさまに銀玉キャラを使うのは気が引けた…という事であろうか。
ちなみに、パチンコ台ではないが、コチラのイラストも見事に「玉ちゃん」と被っている。
(1993年、久恵多勝利・著「完全図解・パチンコ究極必勝法」の表紙に描かれた銀玉キャラ)
そういえば、80年代からファミコンの「パチ夫くん」も、この手のユニークキャラとして人気があったな。平和の玉ちゃんよりも、やや後発ではあるが…。
さて、今回紹介する「玉ちゃん倶楽部」は、ラッキーボーイで使われた「シルクハット玉ちゃん」を役物に大きく据えた、コミカルなハネモノである。
当時・地元の私鉄O線沿線でも、設置が多かった人気機種だ。92年の必勝G誌には、私もよく足を運んだ新宿・東南口「トーオー」での実戦が掲載されている。また、池袋西口の「山楽」(故・田山プロがいた「S」店)にも設置されていた。
氏の名著「パチプロ日記」では、92年9月11日に山楽で新装が行われ、地下の「パチンコ大賞」(西陣)と「ビッグシューター」(平和)が外されて、新台で玉ちゃん倶楽部と「カバ丸くんP3」(西陣)が入った事に触れている。
ただ、当時の田山氏は、S店の玉ちゃん倶楽部を敬遠気味であった(客付きがあまりに良く、釘も渋めだった事が原因と思われる)。ハネモノでは、主に「ニューモンロー」(西陣)、「サーカスIII」(三洋)、そして新台の「カバ丸くん」が当時のメイン機種となっていた。
本機のゲーム性を簡単に説明すると、以下の通り(随分と、前置きが長くなったが…)。
(通常時)
・玉ちゃんが被るシルクハット(帽子)は、常時「反時計周り」(左回り)に回転している。
・帽子には、前後2カ所に玉が通る穴が開いている。
・ハネに拾われた玉が、上段ステージ中央に向った時、帽子の穴がタイミング良く中央にあると、玉は帽子の中を通って下段ステージ奥へ落ちる。
・一方、上段ステージの両サイドに向かった玉は、帽子の両脇から落下して、下段ハズレゾーンに向かう。
・中央から帽子経由で下段に落ちた玉は、玉ちゃんの足元から手前Vゾーンへと向かう。ただし、足元には山型の突起があり、玉が真っ直ぐVゾーンに行かず、左右に外れる事も多い。
・この時、ポイントとなるのが、玉ちゃんの「足の動き」である。足は開閉を繰り返しており、玉が下段に来た時に足が閉じていれば、Vゾーンに向かい易くなる。
・なお、帽子が「反時計周り」である事に着目した「右打ち攻略法」も存在。帽子の回転方向から見て、左よりも右のハネに拾われた玉の方が、帽子の穴に入り易い。よって、右サイドの釘が甘ければ効果は大きいが、通常の釘調整だと逆効果の場合も。
(大当り後)
・大当りすると、通常時下がっていた玉ちゃんの両手がバンザイをした格好になる(ラッキーボーイを踏襲)。
・上がった両手がストッパーになり、上段ステージ・帽子の左右に玉が複数貯留される。
・貯留個数は、8ラウンドまでは左右3個づつの6個。9ラウンド以降は左右2個づつの4個。
・後続の玉は、貯留玉の間を通って帽子の穴から下段ステージへと落下する。これは、名機「ビッグシューター」でお馴染みだった玉の動きだ。青い帽子を銀のローターに置き換えれば、イメージし易いだろう。
・ここでも玉ちゃんの足がポイント。大当り中は、玉ちゃんが足を一時的に閉じて、落下した玉を足下で一旦貯留する格好になる為、通常時よりもVゾーンに向かい易い。なお、玉ちゃんの足は、羽根の開閉動作と同調している。
・貯留解除タイミングは、8ラウンドまでは「ハネ9回開放後」or「ハズレ1カウント」。9ラウンド以降は「ハネ7回開放」及び「ハズレ玉2カウント」。いずれにせよ、序盤で多く貯留しておかないと、ストッパーの両手が下がってしまう。このあたりも、ビッグシューターとよく似ている。
★本機以降の「玉ちゃん」について
本機で「ハネモノ初のメインヤクモノ」となった玉ちゃんだが、その後も平和各機種の重要キャラとして、たびたび登場した。現在はほとんど注目されていないようだが、玉ちゃんの復活はあるのだろうか…?
「パーフェクトセブン」(1993年、デジパチ)…メモリーランプに採用
「トランプ物語SP」(1994年、デジパチ)…確変(時短)絵柄「h」に採用
「CR玉ちゃんハウス」(1996年、CR権利物)…確変絵柄(右デジタル)に採用
「CRワイワイサーキット5」(1997年、CRデジパチ)…確変絵柄「5」に採用
「ワイワイサーキットEX」(1998年、デジパチ)…時短絵柄「5」に採用
「ワイワイサーキットV」(1998年、デジパチ)…200回時短絵柄「5」に採用
「スーパー玉ちゃんDX」(1998年、ハネモノ)…メインヤクモノに採用
(「CR玉ちゃんハウス」…1回権利物、大当り確率1/281。左中ゾロ目&右デジタル「玉ちゃん」で当ると、次回までの確変状態に突入=突入&継続率は1/2)
※なお、前出した神保女史の著作によれば、玉ちゃんはパチンコ台以外でも、平和の販促グッズや、データ表示機「ヨビダス」などで使われていた、との事である。