1992年(平成4年)に西陣から登場した新要件ハネモノ「ダービーキング」
かつて、「天国」(巣鴨)や「荒川沖センター」(茨城)で、本機を堪能した人もいるだろう。
★賞球:7&13
★ラウンド継続回数:9回(新要件機だが、15R継続ではない)
★貯留解除:10カウントorハネ18回開閉時
★平均出玉:約800個
現役時、都電荒川線・早稲田駅近くの「三光堂」(現「パイナップル」)が、思い出の実戦地。全体的に甘い店ではなかったが、授業をサボって打つには最適の場所であった。ただ、ダービーキングの釘については比較的良さげで、順調に2500発出た事も多い。受け取った特殊景品は、裏路地の民家の軒先で交換した。換金所のお婆ちゃんが懐かしい…。
(在りし日の三光堂)
ファンキーセブン、スーパールーレット、花鳥風月、ミラクルフォース、ハニーフラッシュ…今思えば、西陣の台との思い出が多い店だ。ファンキーセブンでは、この店の初打ちで、まさかの「ゼロパン」を喰らったんだよな…。
ヤクモノの馬がアングリ口を開ける、コミカルな姿をご記憶の方も多いだろう。
この当時、リキゾー、カバ丸くんP3、元祖ワニ道楽2、寿限無、ピョンピョン丸、パックンザウルス…など、ヤクモノが口を開けるタイプの新要件ハネモノが、多く登場した。
まぁ、旧要件時代も、サーベルタイガー、パックンロボ、酋長さん、カニゴン、とらさんなど、「口パク」ハネモノは多かったので、これはハネモノの「定番」アクションともいえる。
さて、ダービーキングは「競馬」をモチーフにしたハネモノだ。チャッカー入賞時の、馬の「いななき」も特徴。
本機登場の1992年に活躍した競走馬をみてみると、メジロマックイーン、ミホノブルボン、ライスシャワー、トウカイテイオー、メジロパーマー、ヤマニンゼファー、アドラーブル、タケノベルベット、ニシノフラワー、ダイタクヘリオス、レッツゴーターキン…と名馬揃いである。世の競馬ブームを受けて、本機が送り出されたことは、疑いない。
後に、SANKYOからも「キャロットボーイ」(1995年)という競馬のハネモノが出ているが、ゲーム性は大きく異なる。
(ゲーム性)
ハネに拾われた玉は、ステージに落下した後、手前へと転がる。ハネ開閉時間は、オトシ=0.4秒、ヘソ=0.6秒×2となっている。
ステージ左右では、「パカラ」と書かれた緑色のブロック(可動板)が、間隔をおいて上下動を繰り返している。この「パカラブロック」が、ヤクモノ内の玉の動きに大きな影響を与えた。
ブロックが下に隠れている時、玉はほぼ真っ直ぐ、手前左右のハズレ穴に向かう。一方、ブロックが上昇していると、玉がブロックに当って進路が変わり、手前中央に向かい易くなる。
手前中央には、玉を一つ貯留する穴がある。この穴は発射装置になっていて、貯留された玉は、ヤクモノの馬が口を大きく開けた時、口の中にポーンと勢いよく放たれる。馬の口が玉のキャッチに成功すれば、奥のVゾーンに入って大当りとなる。
大当り中は、パカラブロックが常に上昇した状態になる為、発射装置に玉が貯留されやすい。ヤクモノ10個入賞、若しくはハネ18回開閉でブロックが下降。馬が再び口を開けて、発射された玉をパクっと食べれば継続確定となる。ヤクモノに拾わせさえすれば、継続率は非常に良かった。
なお、継続ラウンド数は最高で9回。初回ラウンドが「2R」の為、表示上は「10R」まで続く。他の新要件機より継続回数が短いが、その分をV継続率の高さで補っていた。それだけに、ヤクモノのクセが重要となる(後述)。
(ヤクモノのクセ)
釘読みは勿論の事、本機攻略の要素として、ヤクモノの「クセ」があった。台によっては、パカラブロックの「沈み」が浅いものがあり、こういうクセ良台は、普段からブロックに玉が良く当たるので、玉の軌道が変わり易く、貯留装置に入る確率が高めであった。
また、発射装置のクセも重要で、発射された玉が馬の口を外すような「ノーコン台」は、極力避ける必要があった。
さらに、馬の口にも良し悪しが存在。通常、馬は口を大きく開いて玉を食べる。しかし、劣化などによるクセ悪台では、口の開きが悪くなり、開いたり開かなかったりのバラつきも生じて、玉のキャッチに失敗する事があった。
(止打ち打法…V直撃打法、ラウンド間の止打ち)
(A)通常時、パカラブロックの上下動でタイミングを計り、止め打ちで効果的にV入賞させる攻略が存在した。
(1)ストロークを調整したら、ストップボタンで玉の打ち出しを一旦停止する。
(2)パカラブロックが上昇から下降に変わった瞬間、ストップボタンを放す。玉を3個だけ打ち出したら、再びストップボタンで打ち出し停止。
(3)玉がスタートチャッカーに入った瞬間、打ち出しを再開してハネに玉を拾わせる。
上記の方法を繰り返すと、ヤクモノに入った玉がブロックに当る確率が上がる。必然的に、玉は貯留装置に向い易くなり、V入賞率の大幅アップに繋がった。
本機は、チャッカー入賞からハネ開放までの「タイムラグ」が長く、この打ち方でも、十分にヤクモノへの入賞が可能になっていた。
(B)また、本機では、大当り中のハネ開放が終了してから、次ラウンドのハネ始動までの時間も長い。無駄玉を節約する為に、この間の止打ちも不可欠であった。
★★追記★★
「天国」、「荒川沖センター」は、残念ながら、いずれも既に閉店しています。荒川沖センター跡地では、現在、パチスロ実機販売店さんが営業しているようです。