Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

それはとても静かで そしてとても美しい調べ

2010-05-23 11:49:39 | 素敵な現場
こんにちは。シニア担当のYokoです。

金曜・土曜と連日ワークでした。

先日お話しした「言葉を添えて ~お花の力~」

同じテーマのワークを金曜日のみなさま 土曜日のみなさまに行いました。

もちろんまたスーパーサポーターの力を借りてお花を沢山作りました。



この二日間は私にとって忘れられない日になりました。

もちろんそれはサポーターも そして職員の方も 

そしてきっとシニアの方も。。



想いを言葉にする。

自分が想っている事を人に伝える。

想いは流暢に言葉を並べ立てても伝わってこないものもあれば

たった一言で心を掴み時に瞬間で世界を変えてしまう事も出来る。



今日の女性の言葉は、私たち全員の心に静かにとても静かに・・・・



数回の問いかけの後、その女性がやっと動きづらくなった口から想いを言葉にしました。

その言葉を口にした時、目には涙が沢山溜まっていました。

私はその言葉をカードに書き、そのカードを女性に手渡すと

やはり同じように動きづらくなった手を伸ばし、それまでに一生懸命飾ったお花の中に

さしました。



「あそこにいらっしゃるのはご主人様ですか?」



この日はこの女性のご主人様が少し離れた所に座り、ワークの見守り参加していました。

奥様がお花をオアシスにさすのが難しそうだと、そっと席を立って手伝い

そしてすっとまた席に戻られる。数回そんなことがあったでしょうか。

女性は首もあまり大きく動かす事は出来ません。

ですので、お話しかけるときは顔を覗き込みながら、その大きな目を見て私はお話しをしました。

「素敵なご主人ですね」

すこし目を細められました。

「このお花をご主人に贈るとしたら、なんという言葉を添えますか?」



今日はこの女性の承認を一番最後に行いました。

「車椅子を動かしてもよいですか?
 
 ご主人の所に行ってこのお花を渡しませんか?」


職員の方に移動していただき、少しだけ離れたご主人の前に車椅子をつけました。


そして他のシニアの皆さま、職員さま、サポーターのみんなが見守る中

女性は動きづらいその両手で自分が作ったお花を持ち、私が介添えをして

ご主人に渡しました。



「いつまでも一緒でね」



女性がお花に添えた言葉です。



女性は涙を流していました。

そしてご主人は静かに一言 「ありがとう」と頭を下げ

ひざの上にお花を乗せ、じっとうつむき見つめていました。



このご夫婦が共に歩まれてきた人生が奏でる

それは静かな そしてとても美しい調べ



神聖なものに触れる瞬間



承認の後、振り向くと職員の方もそしてサポーターのみんなも

やさしく微笑みながら、でも目に涙が溢れていました。



部屋は静かに暖かな拍手で包まれました。




ワーク後のミーティングで職員の方から報告を受けました。

この女性は普段引きこもりがちで、あまり行事に自ら参加もせず

食事もお部屋で食べている。

でも今日はみなさんと同じフロアで食事を取っているんですよと。

本当にうれしい。そしてご主人も喜ばれていますと。

そして何度も ありがとうございますと。



現場を作っているのは確かに私たちかもしれません。

でもいつもいつも シニアのみなさんから多くの事を学ばせて頂き

両手で持ちきれない愛をいただいているのは、私たちの方です。



だからこそ セラピストひとりひとりのあり方を通してお返ししていく

それが大切なのだと改めて思います。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (やすこ)
2010-05-23 22:15:09
一日たった今でも、思い出すと涙が・・・
なんとも言えない、不思議な空気感でしたね。

その人の手からうまれたアートって、伝えたかった思いや心の声となり、それを届ける力もあるのだと感じました。長い人生一緒に歩んできた夫婦の絆や、その人にとって大切な記憶の中の人への思いは、いつまでも純粋であたたかく、いきいきと生きていて、私たちには大きな感動となってストレートに響いてくるのでしょうね。心のなかの大切な部分に愛をたくさんいただいた時間でした。
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きっかけ (Unknown)
2010-05-23 23:47:07
きっかけだったのかなと感じました

いつも想いはあったのでしょう

でも、それを伝えたり、表現することがなかなかできなかったのかもしれないですね

私も素敵な『絆』を感じました

ある方がおっしゃってました

『言葉は相手に贈るプレゼント』

いつも暖かい気持ちをいただいております

ありがとうございます
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Unknown (いけ)
2010-05-23 23:53:56
本当に静かで、でもとても温かく
こちらも幸せな気持ちになった時間でした。


この女性だけでなく、ほかの皆様もそれぞれに思う相手が
いて。


自分以外の誰かを思うことや、その思いの深さ、温かさが伝わり、心がじーんと熱くなりました。


誰かを思う、その気持ちが尊いものなのだな~と。


yokoさんがワーク直後に言ってらした言葉
『ボディブローのようにじわじわ来るね』


今、私も同じ気持ちです(笑)



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Unknown (Yoko)
2010-05-24 02:24:22
>やすこさんへ

お疲れさまでした。

そうなの。。私も思い出すと涙出てきちゃって。

アートの凄さを改めて知った瞬間だよね。

純粋な部分ってこんなにもストレートに届く。
改めて私は自分の表現を振り返ったりしていました。

そして、私もこんな風に素敵な夫婦になりたいなんて思ったりも。。。

これからもみんなで素敵な場作っていこうね!


>Unknownさん

ほんとうにそうですね。
アートを通して私たちは心の中にある想いを外に出して形にするきっかけを作っているのだと思います。
いつも心の中にある様々な想いを。


>『言葉は相手に贈るプレゼント』

胸に響きました。
素敵な言葉・・・


>いけちゃんへ

お疲れさまでした。

他の方の感動も書きたいくらい!!

>誰かを思う、その気持ちが尊いものなのだな~と

本当。
その気持ち自体が尊いもの。
その部分に私たちは触れているんだよね。


効いてる?ボディブロー

ちょっとこのボディブローはしばらく
私の中で続きそうです。
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しあわせを表出する (mackey)
2010-05-24 14:32:22
いつもこのブログを読むと思う。
誰の中にもある「しあわせ」を感じられるように、味わえるように、目に見える方にするのが、このアートのセッションなんだなーって。

シニアのみなさんがいてくれてこそ、なのは、もう本当にその通りで。

でも、それを表現できる場をつくっているからこそ、みんながそれを味わえる。
すごいことだね。

私は、職員さんにとっても、そんな場を共有できることがものすごいギフトだと思うんだ。
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gift (Yoko)
2010-05-25 02:40:46
>mackey

ありがとう。

>目に見える方にするのが・・・

そう思う。
本当にそう思う。

そういう【場】を作ること
それが私たちアートセラピストの役割であり、
使命なのだと思う。

誰もがしあわせを感じる場

この日、この女性がワークの後みなさんと食事を取れたのも、
みなさんのあたたかい拍手が背中を押したのだと思います。

「承認」

共有できる事
そして分かち合える事

相手がいるからできること
1人ではできないこと

最高のgiftだよね

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Unknown (Unknown)
2010-05-26 22:28:23
あの時も感動したけど、今も思い出すとじんときます。

想いを形にすると、自分でも思いがけない驚きや感動があって、それを誰かと共有すると、更に感動が深くなる。
シニアの皆さんにも、驚きがあったんじゃないかな。

生きていくってすごいな、と勇気づけられました。

同じ時間を過ごした皆さんに感謝してます。
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じーーん (Yoko)
2010-05-26 23:37:18
>Unknownさん

(コメントから察するにサポーターの誰かかしら?)

私も思い出すとじんとします。

>誰かと共有すると、更に感動が深くなる

本当ですね。
「誰かと共有する」
どんな時もその事って大切だなと
このワーク以外でも日々の様々な出来事から
さらに気づかされました。

素敵な時間でしたよね。本当に。

また一緒に作りましょ。
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