心にいつまでも

寒い日が続いていますね。シニア担当のYokoです。



男性のOさんとの出会いはよく覚えています。

小柄でいつも上着を着ていらっしゃいました。

とっても大きな福耳。

優しい笑顔。




「わたしはこれだからこんな事はしちゃいけなんだよ」


そういうと席を立ってしまう。


アートワークに落ち着いて参加されるまでには少しお時間がかかりました。




「わたしはこれだから・・・」


この時必ず同じポーズを取ります。


これだから・・　指を鉄砲の形にします。


そして数回その指を上下させました。


それはご自分が戦争に行っていたことを表していました。




「こんな事をしちゃいけないんだよ」


それはこのような楽しむ事はしてはいけないのだという意味でした。





私たちは職員さんと一緒になり、Oさんが安心して参加して頂ける場作りを目指しました。

短い時間だったとしても、次にまた来ていただけるように

どのようなものだったら楽しんでいただけるか。

寄り添い、お話しをし、探り続けお待ちし続けました。




ある日Oさんは楽しそうでした。

その日は手作りローラーで色を沢山テーブル一杯の紙面に描くワークでした。

ことのほかローラーがコロコロと動き色が広がる自由さに夢中でした。




職員さんをはじめ私たちはその様子がうれしくてしかたなかった事を覚えています。




それからはOさんのユーモアが徐々に発揮され、いつも場を明るくして下さいました。

手をブラブラブラと体操をすれば　「おばけだよぉ～」

ちょっと薄い頭に自分から羊毛を乗せられて

笑ってはいけないと思いつつも、我慢できずに笑ってしまうと

おどけて更にみんなの笑いが大きくなったり。



時には私がちょっと悪ふざけをしたりすると

「そういう事はしてはいけないよ」と小さな声で伝えてくださったり。

時には冷たい手をさすると　ちょっと顔を赤らめて照れたり。




そんな時間をゆっくりみんなで積み重ねていくうちに

Oさんの口から

「わたしはこれだからこんな事をしちゃいけないんだよ」

その言葉をおっしゃる事はもうありませんでした。







沢山沢山の思い出の中　今日お別れをしてきました。





秋の羊毛のワーク

タイトルは「ビール」でしたね。

大好きなビールの色と泡の様子を描かれました。



最後の前の晩にビールを一杯、おいしそうに飲まれたそうです。





Oさん　

思い出すのは　Oさんの笑顔ばかりです。

楽しいひと時を一緒に過ごせた事は私の宝物です。



本当にありがとうございました。


合掌