薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

2016.5さつま狂句

2016-10-10 19:43:32 | 日記


(地)
 貝(け)ん厄日(やっび) 集落(ごじゅん)総出ん 浜行楽(はまでばい)    扇香 5月11日投稿
 
(評)中七の表現に難点がありますが、上五と下五の組み合わせが良かったと思います。沢山の人に、貝が慌てふためいていると詠んだところが狂句らしさを感じさせます。集落(ごじゅん)の「ん」は「~の」の意味の助詞ですから、読み仮名にはなりません。共通語の場合と同じです。「ごじゅ」は「郷中」で統一されています。

総評 黒柱先生
●蛇の足

1.「風ん大息で」これでも間違いではないと思いますが、「ういっ」は普通「溜息」という漢字を当てます。共通語の「おお」は「う」と変化しますので「うかぜ→「大風」→「台風」と変わる場合があります。「おおあめ」や「おおじしん」は、それぞれ「大雨(うあめ)」「大地震」(うなえ)」となることはご存知の通りです。

2.孫がすっ やさし所作(しょさ)に 大人(おせ)目覚(おず)ん
この句は言わんとすることはよく分かるのですが、難点が二つあります。
 一つは、中六の破調、もう一つは下五の止め方です。破調句を避ける一番の方法は「指折り確認」、二番目は一句でも多くの句を「音読」してリズム感を身に付けることです。下五の「目覚ん」の使い方はこれでよいのです。「大人が目覚ん」といいたいわけですが、そうすると字余りになるので、「が」抜きになったのでしょう。
このような場合の「が」「は」は狂句では省略しないのが普通です。聞いたときに違和感があります。自由吟の場合は、意味が違ってはきますが「目覚(おず)ん大人(おせ)」と前後を入れ替えることが出来ます。しかし、この場合「目覚ん」が課題なのでそれもできません。(入れ替えると「大人」が句の中心になってしまうからです。)句跨りになりますが、たとえば「可愛(む)ぜ孫ん 所作いな大人(おせ)ん 方(ほ)が目覚(おず)ん」という詠み方もあるのではないでしょうか。

3.「久(さしか)ぶい」→「久(さ)しか振(ぶ)い」、「無能(ぼえ)」→「呆(ぼ)え」

4.下五が「目覚ん」以外の言葉で終わると、下五の印象が強くなって「課題が薄れて」くる場合が多いようです。課題の言葉が必ずしも下五に来る必要はありませんが(五七五の何処に入れても構いませんが)、それが句の中で一番強い印象を与えることが肝要です。
自由吟は特に問題はないようです。
                       


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