我々が摂取した食物は、まず胃で消化されます。
胃での消化とは、
主に食物が胃液と胃の蠕動運動によって溶かされ、ドロドロにかき混ぜられることです。
「無用の用」の概念において、消化が行われているは
胃という「器」ではなく、「胃の中の空間」になります。
つまり、胃の本体は胃液の分泌や、蠕動運動を行いますが、
実際に消化が行われるのは
胃の中の空間という「場」なのであるということです。
逆に言えば、食物の消化という「場」の機能を成り立たせるために、
胃の本体は胃液の分泌や蠕動運動を行ったり、
胃の粘膜のコンディションを保ったりしているのです。
例えば胃液の不足や蠕動運動の低下で消化が進まなかったり、
逆に胃液の分泌過剰で胃壁が傷いたりなどすると、
胃という消化の「場」の成立に支障が生じることになります。
つまり、胃の本体に何らかの問題が生じた結果、
消化の「場」にも影響が現れることが、
「無用の用」の観点において問題の本質となります。
従って、消化という機能がスムーズに行われるように、
胃という「場」をととのえることを目指します。
「器」の中の「空間」という「無用の用」からなる『場』をととのえる。
これが「無用の用」の医学、すなわち「道の医学」の考え方です。