泉心堂治療院

せんしんどうちりょういん

「無用の用」と「場」:道の医学

2020年07月01日 | Weblog

我々が摂取した食物は、まず胃で消化されます。

胃での消化とは、

主に食物が胃液と胃の蠕動運動によって溶かされ、ドロドロにかき混ぜられることです。

 

「無用の用」の概念において、消化が行われているは

胃という「器」ではなく、「胃の中の空間」になります。

 

つまり、胃の本体は胃液の分泌や、蠕動運動を行いますが、

実際に消化が行われるのは

胃の中の空間という「場」なのであるということです。

 

逆に言えば、食物の消化という「場」の機能を成り立たせるために、

胃の本体は胃液の分泌や蠕動運動を行ったり、

胃の粘膜のコンディションを保ったりしているのです。

 

例えば胃液の不足や蠕動運動の低下で消化が進まなかったり、

逆に胃液の分泌過剰で胃壁が傷いたりなどすると、

胃という消化の「場」の成立に支障が生じることになります。

 

つまり、胃の本体に何らかの問題が生じた結果、

消化の「場」にも影響が現れることが、

「無用の用」の観点において問題の本質となります。

 

従って、消化という機能がスムーズに行われるように、

胃という「場」をととのえることを目指します。

 

「器」の中の「空間」という「無用の用」からなる『場』をととのえる。

これが「無用の用」の医学、すなわち「道の医学」の考え方です。