本国刊行が1945年のミステリですが今読んでも楽しめる内容です。人間消失と密室殺人が彩る事件となっていますがそれはホンのおさわりのようなものです。
初めから見え隠れしていた問題がありますがすっかり意識の他に追いやられていきます。それは家出を繰り返す少年という不可解な様子から開けた荒野で忽然と消える出来事や正体のハッキリしない人物が二人もいたりとするからです。事件の目撃者でありこの物語の語り手であるダンバー大尉は精神科医ということで関係者の格好、顔つき、視線、仕種、経歴、そして会話の内容などから登場人物の性格などを細かく分析します。ですがここにひとつ穴があります。それは登場人物の中にマドンナがいることです。そのマドンナにダンバー大尉は一目惚れします。このため彼の眼は少し曇ってきますので彼の視線で物語を追う読者も当然少し曇ってきます。ここがこのミステリのミソです。
後半過ぎから登場するこのミステリの探偵役のウィリング博士は部下であるダンバー大尉のように思い入れなどありませんから彼からこれまでの経緯を聞いて冷静に分析します。色々な謎も彼による明確な答えは至極もっともな話です。でも読んでいるコチラにはその答えが中々見えませんでした。ダンバー大尉同様に目が曇っていたからです。登場人物の会話などもその態度などもヒントになっていたのですが真相には気付かないように作者は周到に計算された書き方で読ませます。伏線もちゃんと書かれています。ラストの驚きの事実もなるほどと感じ入るほどですっかり作者の手の内で遊ばされていたことに気付きました。女性らしい繊細な言葉で表わす情景や雰囲気などに加え舞台になっている土地の風景や時代背景としての興味深い史実などもこの物語の重要なファクターです。心理のアヤがヒントにも目くらましにもなっているこの本のトリックにすっかりやられました。
初めから見え隠れしていた問題がありますがすっかり意識の他に追いやられていきます。それは家出を繰り返す少年という不可解な様子から開けた荒野で忽然と消える出来事や正体のハッキリしない人物が二人もいたりとするからです。事件の目撃者でありこの物語の語り手であるダンバー大尉は精神科医ということで関係者の格好、顔つき、視線、仕種、経歴、そして会話の内容などから登場人物の性格などを細かく分析します。ですがここにひとつ穴があります。それは登場人物の中にマドンナがいることです。そのマドンナにダンバー大尉は一目惚れします。このため彼の眼は少し曇ってきますので彼の視線で物語を追う読者も当然少し曇ってきます。ここがこのミステリのミソです。
後半過ぎから登場するこのミステリの探偵役のウィリング博士は部下であるダンバー大尉のように思い入れなどありませんから彼からこれまでの経緯を聞いて冷静に分析します。色々な謎も彼による明確な答えは至極もっともな話です。でも読んでいるコチラにはその答えが中々見えませんでした。ダンバー大尉同様に目が曇っていたからです。登場人物の会話などもその態度などもヒントになっていたのですが真相には気付かないように作者は周到に計算された書き方で読ませます。伏線もちゃんと書かれています。ラストの驚きの事実もなるほどと感じ入るほどですっかり作者の手の内で遊ばされていたことに気付きました。女性らしい繊細な言葉で表わす情景や雰囲気などに加え舞台になっている土地の風景や時代背景としての興味深い史実などもこの物語の重要なファクターです。心理のアヤがヒントにも目くらましにもなっているこの本のトリックにすっかりやられました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます