Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

愚者のエンドロール

2014-02-11 11:33:43 | ミステリ小説
映画にもなった「インシテミル」で名前が知られた米澤穂信の作品で、古典部シリーズのなかの一冊です。ジャンルで言えば青春ミステリのカテゴリですが中身はけっこう本格的なのが特徴といえます。
文化祭に出展するクラス製作の自主映画が未完成のまま終わっていた。廃屋の鍵の掛かった密室で腕を切り落とされた少年が死んでいたが、犯人もその方法も明らかになっていない。
2年F組クラスの女王とあだ名される女子生徒から結末を調べるように依頼された古典部の面々。折木奉太郎は女王こと入須冬実からその能力を買われ犯人探しの探偵役を依頼される。
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなくてはいけないことなら手短に」が身上のホータロウはオブザーバー役を引き受け、クラスの映画関係者でミステリマニア三人の推理を聞き
検証していくことになる。このスタイルはアントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」が有名ですが、この作品も同作品へのオマージュとして書かれています。ひとつの事象に対して何人かがそれぞれの推理を披露する、

この形を初めて表わしたのがバークリーの「毒入りチョコレート事件」です。西澤保彦の「聯愁殺」にもこの試みが使われていますがこちらはメタミステリの傑作として知られています。
三人の推理を検証したホータロウですがそれぞれの盲点を指摘して却下し、結局自身で犯人探しに挑むことになる。 このようなストーリーですが、古典部という良く解からない部活動の面々のキャラクターが
とても良く出来ていて、それでいて高校生が主役と云う内容としてはチャラチャラしたところがなく、真摯に高校生活を送る彼らの様子が会話や行動で見て取れてとても読んでいて好感の持てる内容です。


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