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三河・松應寺 徳川家康父、松平広忠墓所の版築土塀修復を体験

2019-07-15 | 歴史
松平広忠墓所は愛知県岡崎市松本町の松應寺にあります。
 徳川家康の父、松平広忠が葬られたとき、幼少の竹千代(のちの家康)が土盛りの墓地に松を植え目印にし、後年墓所として整備し、その後も修築がくり返されて来たとされます。墓所は版築土塀で囲まれていますが、近年では土塀が崩れ傷んでしまっていました。
 今回、 文化財として墓所とその周囲を修復することになり工事がはじまりました。
墓所を囲む版築工法で築かれた土塀も修復されることになり、版築工法の見学会と体験会が現場で行われました。
 城郭でも版築で築かれた土塁、などを聞きますが実施に版築工法を体験できる機会はメッタにないので参加しました。
徳川家康の父、松平広忠墓所   修復工事が始まっている
 墓所は松應寺本堂の裏手にあります。工事の妨げにならない限りいつでも自由に参拝、見学ができます。

    松平広忠墓所を囲む傷んだ版築土塀
土塀は、三つ葉葵の瓦が持ち去られ、痛みが加速して、土塀が全く失われている部分の方が多くなり、残されている部分も写真のように崩壊寸前になっています。

松平広忠墓所版築土塀 墓所の玉垣を囲む版築土塀 残った部分はそのまま使って修復する
型枠の中に土を入れて、版築工法で土を固めます。文化財の修復ですから残っている土塀はそのまま埋め込んでいきます。

松平広忠墓所 体験会の版築に用いる道具は、旧来のものが用意されていました。
体験用の版築道具は、杵のような旧来の木製の道具が用意されていました。実際の工事には写真右側の鉄製の道具が使われているそうです。 いずれも先端部の幅が 広、中、狭 の3種類ありました。
 
松平広忠墓所 版築用の土運びも参加者が行いました。
版築用の土は、適した土を一年前から準備したそうです。体験会では参加者が土運びもしました。
 土は入れた土が半分近くの厚みになるまで版築の道具を使って突固めます。木製ですが意外に重い道具です。
写真で突き固めている男性は、本職の左官さんでご近所の方だそうです。仕事として土塀作りもやっておられるそうですが、文化財としての修復は条件が厳しくて工事を請け負うのが難しかったとのことでした。
 
松平広忠墓所 版築の上塗りの補強には縄を入れ込む
一般の土壁の小舞にあたる部分がないので、上塗りが剥がれ落ちるのを防ぐために縄を入れます。竹串に引っ掛けて縄の位置を
固定しています。
 今回の修復にあたっては、旧来の手法、材料を極力踏襲しているが、一部にはより強度を増し将来に残る文化財としての工法を採用している部分もあるとの専門家の解説もありました。
 
松平広忠墓所 2歳の坊やも参加、家族総出で版築体験
 体験会は、多くの方が参加され、本職の指導でにぎやかに行われ、みんな楽しんで体験しました。
松應寺住職さんの「皆さんの突いた土塀が何百年も先まで残りますョ」の言葉に励まされて思わず力が入りました。
 
専門家からは「城の石垣でも地山を版築で固めずに裏込め石を入れている場合は地震で崩れやすい、最近の地震で崩れた石垣を各所で見てきたが、版築で固めてない場合がほとんどだった」との話がありました。裏込め石だけでは強固な城石垣が築けないということも知ることが出来た見学・体験会でした。
 
※ 松應寺は  松應寺  でネット検索すると見ることができます。土塀の修復工事はしばらく続くと思いますので、興味のある方はお出かけになられてみてはいかがでしょうか。