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三河・大観音城 足助七城の東端に位置し足助城とともに東を守る城郭

2021-05-17 | 歴史

大観音城は愛知県豊田市足助町にあります。足助の歴史は古く平安末期に浦野重長がこの地に住み足助氏を名乗ったと伝わります。その後、足助七城と呼ばれる飯盛城・足助城・城山城・大観音城・成瀬城・黍生城・臼木ヶ峰城を築き一族を配し足助の地を守ったとされます。
 大観音城は足助の地の東端の高所に位置し足助川を挟んだ南に位置する足助城とともに東からの侵入をに対する守りの役割を担っていたと思われます。
  今回の資料は
(1)「足助の中世城館」鱸 鑒編 足助町教育委員会2001 と (2)「愛知県中世城館跡調査報告2」愛知県教育委員会1994です。


大観音城 図1 足下の伊那街道を扼する位置に所在する
 足助川を挟む足助城と大観音城で稲武方面の東からの侵入を防いでいたと考えられます。戦国期には武田と今川の侵攻が考えられそうです。今は樹木で遮られていますが、往時は東と北も遠くまで見通せる絶好の立地だったと思われます。


大観音城 図2 Ⅰ郭を詰の城とし、観音寺またはⅢ郭に居館があったと考えられている。
 図示した以外にも平場が山上と山麓に多数ありました。資料(1)によると、後世の耕作地の可能性があるようで、城郭遺構と耕作地の判断が難しい状態でした。
■ 資料(1)の鱸 鑒さんの縄張図で観音寺と③間の距離が約100m短く描かれていましたので、少し戸惑いました。資料(2)の縄張図も鱸 鑒さんの縄張図を原図として踏襲していました。


大観音城 Ⅲ郭へ至る道は城道①と観音寺の参道の2本がある
 資料(1)によると、Ⅲ郭は居館だったようですが後世の耕作地だった時期があるとされますので、城道①も往時の姿ではなくて後世の農道かもしれません。いかにも堀底道風ですので、ここでは城道としました。


大観音城 Ⅲ郭 居館があったとも耕作地だったともいわれる平坦面 右手奥上に観音寺
 資料(1)によるとⅢ郭は耕作地だった時期があったようですが、今は平坦地となり片隅に東屋が建ち足助の家並みを見渡せました。3郭の周囲には腰曲輪状の平場がいくつもありました。腰曲輪が後世に耕作地として利用されたと見ることも出来そうな地形でした。


大観音城 観音寺 現在は廃寺状態で「倒壊の恐れあり立入禁止」の看板あり
 観音寺の所在する平坦面に居館が在ったとも考えられるようですが、発掘調査をしないと結論は出ないのかもしれないと思いました。こことⅢ郭にも居館があった可能性もありそうだと考えましたがどうでしょう。


大観音城 城道② 二股に別れた城道   左側は行き止まりの道
 図2の城道②でⅠ郭へ登ります。この部分で二股に道が別れていましたが左側の道は行き止まりで右側の道が城道でした。二股になっている意味がよくわかりませんでしたが中央部が下から登ってくる敵を迎撃する場所だったのかもしれないと想像してみました。


大観音城 Ⅰ郭南端部のⅠ郭へ登る城道?  南から
 Ⅰ郭(主郭)の四周は帯曲輪Ⅱが取り巻いていて、切岸がしっかり削り出されていますが虎口がはっきりしませんでした。Ⅰ郭南端部に削り残しの地形が道状に有りましたので、ここをⅠ郭の城道(虎口?)と考えてみました。南から登ってくると防御性が殆どありませんので、後世の山道かもしれませんね。


大観音城 Ⅰ郭(主郭) 南から
 Ⅰ郭平面には土塁などの城郭遺構らしき地形は見当たりませんでした。ただし周囲の切岸はしっかり削り出されていました。樹木がほとんど無く竹もまばらですのでヒョットするとここも耕作地だった可能性がありそうです。土塁等の遺構がないのもそのためかもしれませんが、明確なことはわかりませんでした。


大観音城 Ⅰ郭東下の帯曲輪Ⅱ  南から   左手にⅠ郭の切岸
 Ⅰ郭の周囲は帯曲輪Ⅱでほぼ全周が取り巻かれていました。ここも樹木が少なく竹林になっていますので耕作地だった可能性がありそうでした。


大観音城 帯曲輪ⅡからⅠ郭を見上げる 北西から
 この部分の帯曲輪は幅が広くなっていました。


大観音城 堀切A   西から 
   堀切Aは北側尾根を遮断する役割ですがこの付近も耕作地だったようで、浅い堀地形でした。

図2の平場③④⑤の他にもⅠ郭を中心に多数の平場が段々に取り巻いていました。資料(1)でも述べているように城郭遺構かどうかハッキリしないのが少し残念でしたが、色々と想像しながらの楽しい見学ができてよかったです。

※足助はモミジの香嵐渓で有名で紅葉の季節には大渋滞が起きますので、その他の季節に見学に出掛けましょう。道路が狭く駐車スペースも限られますので図1Ⓟの公共駐車場に駐車して見学すると良いでしょう。