宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

悠久の雫

2005-04-29 08:41:30 | 酒のこと


瓶詰め日付が平成16年2月の酒。

約14ヶ月経過しているが、特にヒネ香は感じられない。
香りはほとんどしない。

無理矢理嗅ぐと、なんだろ?
醤油に似た香りが・・・
う~ん
無理があるなあ。

てなわけで、大ぶりのワイングラスに入れてみた。
すると、アルコール臭と、綿菓子の香りがする。

すっと口中に入り、舌の上に広がる味わいは、
酸、甘、渋がバランス良く、余韻として程良い
苦みが舌を締める。

燗に向いているようなので燗をつけてみる。
湯煎の準備をする気力はなかったので、レンジ
で2分弱くらい加熱したら、酒の量と加熱時間が
合ってなかったようで、大半がレンジ庫内に吹き出し
ていた(^_^;)

味見すると、ほどんど酸っぱいお湯になっていた。

気を取り直して再度チン。
今度はうまくいった。

プンとアルコールの鼻を刺すような香りが立ち上がって
くる。
少し加熱しすぎたかも。

でも、実は私はこの香りが好きなのだ。
燗酒を飲むんだ、という心の準備が出来る感じ。

屋台でコップに注がれて出てくる燗酒はたいていこの
香りがする。

すると、五臓六腑が呑む前からきゅっと締まる感じが
して、なんとも言えず好きである。

まあ、好き嫌いのある香りではあろう。
事実これが嫌いで燗酒を寄せ付けない向きもある。

また、ちゃんと湯煎すれば、もう少し違ったものに
なったかもしれない。

呑んでみる。

きゅっと入って、クッキリとした輪郭を持った味わい。
杯を重ねる喜びを予感させる味だ。

ただ、純米酒のような柔らかなコクや深みのある味わい
とは言えない。

乱暴な言い方をすれば、燗酒の初心者向けの酒と言えない
だろうか。

何故なら、私の飲み始めはこのタイプの燗酒が好みで
あったからである。
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