宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

Y 佐藤 正午

2021年04月13日 13時46分32秒 | 本のこと






 手あたり次第読んでみようと思っている佐藤正午の著作「Y」は、単行本として1998年10月に出版されたもの。








 いわゆるタイムスリップものだが、そこに男女の出会いと別れの機微が絡まる。
ネタバレを覚悟で書くが、1980年から1998年の18年間を何度も生き直す男の物語。
それは、やり直すたびに違う結末になる。
ただ、登場人物は同じで、役どころが違ってくるという感じ。
それらは、考えようによっては、所謂ソウルメイトか。

 そして、最近ちょっとは一般的になってきた量子力学で言うところの「パラレル・ワールド」が展開する。
何度も18年間を生き直すことに、人はどう言う感覚を持つのだろう?

アタクシ的には、「飽きないか?」と思ってみたりもする。
ここで思い出すのが、19歳のとある夜。
そろそろ46年が経つ。
当時、住み込みの朝日新聞販売所店員だった私は、先輩方と池袋の「ドラム」というパブで呑んでいた。
円形のカウンターがいくつもある大きな店で、その中にそれぞれ数名のバーテンダーがいる、当時流行のスタイル。
確か、新宿の「ぐるっぺ」とかいう店にもよく通った。
そこで「死」のハナシになった。
すると、東京音楽大学2年で留萌出身の加藤さんがこう言った。
「死ぬから区切りがあって、いいんじゃんか。ずっと生きてたら飽きるだろ!?」と。
 一同納得。
いや、私はそのフリをしただけ。
だって、当時は未来永劫生きていられるものならそうしたいと考えていたから。
死ねば全ては闇に溶けると考えていたから。


 でもね、物語としては面白くても、過去の出来事を覚えていて、その上でそいつを差し替える行動を取って、行く末をコントロールするなんて人生、楽しいかな?
それが愛する人の幸せの為であったとしても、その愛が勘違いだった場合はどうなる?
これ以上書くと、ホントにネタバレになるのでここまで。


 なので、「人生一回コッキリ」と生きるからオモロイんじゃないかな。
そしてそれがもし、いくつもの「オレ」の人生がパラレルに存在してて、幾通りもの「オレ」がいるかも?!
と、考えてみる面白さはある。
当然、そのそれぞれの「オレ」は、「この人生一回コッキリ」と考えてなければならない。
そんな気がする。


 まあ、そんなの実際は死んでみなきゃ判らないんだけどね・・・
















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