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迷宮・緑柱玉の世界の独り言

迷宮・緑柱玉の世界 1章10節「淫火」

2021-02-13 | 迷宮・緑柱玉の世界
「感じたかい?」

先生のその一言を聞いて、先生は何を言っているのかと思いました。
感じるはずが無い。
感じるわけが無い。そう思っていたのです。
鞭うたれて感じるなんてありえない。

「濡れているぞ!」

縛られた私の体は、私の心と裏腹に、感じているというのです。
それでも、感じてないと、信じたかったのです。
縛られて感じるなんて、そんな事が、あるはずない。
間違いです。
先生が、私に嘘を言って、試しているのです。
縛られ感じる?ありえません。

「感じてるだろ?」

確かに、着ていたワンピースは、汗で、体にくっついていた。
先生の手にしていたはさみの金属を冷たく感じた。
ショーツの上からでも、はさみの冷たさを感じました。
履いていたショーツにはさみが入れられました。
縛られ、どうすることもできない体から、ショーツが引き抜かれました。
目の前には確かに濡れたショーツがありました。
私は確かに感じて濡れていたのです。

足を交差させ隠そうとしたとき、ワンピースの裾が垂れてきました。
それを先生が避けようとしたとき、くすぐったい様な甘いものを感じました。
それでも、感じてないと信じました。
何もつけていない下半身にはさみが触れた時、心に何かを打ち込まれたような衝撃を受けました。
恐怖?
よく分りませんが、はっきりと、私の心と体は、反応したのです。
濡れた体に触れる冷たい金属の感触。
私の体が、言葉にしにくい反応をしました。
体の深部に、小さな種火がつくくというか、何かが生まれたような気がしました。
染みになっているショーツを目の前に持って来られた時、
今までに経験した事のない恥ずかしさが、私の体中を駆け巡りました。
鳥肌が、波を打つように、体を移動してゆくのがわかりました。
 
次の瞬間、先生は、剃刀を手にしていました。
「動くなよ。」
先生の手は、胸のふくらみに沿って剃刀を動かしました。
縄と服が有ったとしても、刃物はやはり怖いです。
刃物の動きに体が緊張で硬くなっていました。

「あっ」

お腹から太ももに向かって回した縄を軽く引っ張られた時思わず、体を動かしてしまいました。
剃刀で切られたと思いました。

「動いたら、大切なものが、切れてしまうよ。」

先生の話し方は、その時々で変わっていました。
まるで嘗め回すかのような話し方は、恐怖を感じました。
まさか?という思いもあります。
先生の行動を予見できない恐怖に、切られるのでは?と思いました。
やはり、私は、ここに居てはいけないんだ。
そう思ったときは、すでに、手遅れでした。
 
「信じなさい!」

信じなさいと言われても、どこまでをどう信じたらいいのかわかりません。
全てを愛するとか、任せなさいという言葉が分からない。
人を信じると言う事が、私にはまだできません。

「僕を信じて、任せてごらん。
 そうしたら、感じていける。
 セックスだけが快感ではないんだよ。
 心で感じたり、精神で感じることだってできる
 想像したり空想したりするときだって、幸せだろ?
 先ほどの鞭、縛りだって、想像してみたらいい。
 その先に恐怖があると思ったら、楽しめない。
 だが、僕は雛美礼を傷つけたりする様なことは決していない。
 僕が喜び、雛美礼が楽しめるようにしたい。
 その為には、僕を信じて欲しい。
 今まで、雛美礼が経験したことのない世界を見せてあげる。」

順序だって話してくれれば理解できる
先生が私に危害を加えたくてしているのではないという確信さえあれば、
私は、先生を信じられます。
信じてみようと、思いました。

先生は、恐怖、緊張、刺激、恥ずかしさを楽しめばいいという。
今の私には、難しい。
でも、先生は

「雛美礼は、感じてきている。」

私の足元にひざまずき、体に沿って指を這わせる。
縄に沿って縄に沿って、指を這わせる。
くすぐったい様な甘い指の動きに、体の力が抜けていく。
剃刀を動かしながら幾度も感じているというのです。

「足を広げろ。」

内ももに指を這わせる。
優しく撫で回すその指の動きに体は、反応し始めるのです。

「感てる?」

感じてきちゃた、なんて言えない。

「動くなよ!」

そういうとカミソリで、毛をそり始めた。
甘い刺激の後の緊張。
心は、ジェットコースターのように上昇しては、急降下
感じているのかと言われたらわからない。
確かのことは、心が乱高下していると言う事だと思った。
 
「綺麗になったよ。触ってごらん。」

やっと、縛られていた手の縄をほどいてくれた。
剃り上げられ、タオルでふき取られた跡に触れると、すべすべの肌が、むき出しになっていました。
そのときの肌触りは、私の心に再び衝撃を与えました。
衝撃が何なのか分らなかった。

背後に回った、先生は、ってきた。
それまでの痛さとは違ったのです。
一撃目は、衝撃。
二撃目は、電気が走った。
三撃目は、燃える感じがした。

「何?なぜ?どうなってるの?」
そう思っている瞬間に、いってしまった。

「いやぁぁ・・」
雛美礼の悲鳴のような喘ぎ声を耳にしたとき、全身に鳥肌が立つ思いだった。
小刻みに痙攣する身体とうつろに目を見ながら、絶対離したくないと思った。
 
「起きろ。」

抱きしめたい衝動を抑え、縛った縄を持ち、引き揚げようとした
その時、雛美礼の体には、力が入っていなかった。
力を入れ持ち上げると、雛美礼の柔らかい体に縄が食い込んだ。
それは突然、水が溢れ出すように、感情と快感があふれてきたようだった。
再び感じながら、叫ぶように泣いた。
嗚咽し、しゃくりあげながら泣き続けた。

「止まらない・・・」

そういって泣く雛美礼は、愛おしかった。

「泣き叫べばいい。
 止めることはない。
 吐き出しなさい。」

抱き上げていた身体が再び痙攣し、動かなくなった。
何かを口にしているようだったが、声は出ていないから、何を言っているのか理解できなかった。
絨毯の上に動かなくなった雛美礼の体を寝かし
縄を外し 、汚れてしまったワンピースを脱がした。
雛美礼を抱き上げ、ソファーに運び、横たえ、シーツを掛けた。

動けなくぐったりした体を、優しくさすりながら、ゆっくりと話しかけた。

「嬉しいなぁ。
  雛美礼は、すごいね。
 僕の望むように感じてくれる。
 雛美礼だって、感じて気持ちが高揚するだろ?
 僕は、いつでも雛美礼を最高の場所まで連れて行ってあげるよ。
 僕を信じなさい。本当に良い子だね。
 感じやすいんだね。
 いってしまうときの表情は、最高だよ。」

雛美礼は、うっすら笑みを浮かべたが、何も言わず、視線をそらした。
たぶん、雛美礼にとっては、初めての経験だったのだろう。
自分で認めたくないのも当然だろう。
それで良いのだ。
ゆっくり確認しながら、受け入れれば良い。
誰しも、自分の知らない自分がある。
それを一つづつ見つけて認めていく。それが、成長だ。
雛美礼も、僕の中で、成長してくれれば良い。
全て僕に見せてほしい。 
僕は本当にうれしいよ。もう、誰にも渡さない。
離さないからね。」

シーツの上から、強く抱きしめた。
力の抜けた、抜け殻のような肉体を、抱きしめる瞬間を、僕は、どれほど待ち望んだ事か。
やっと、手に入れたこの重みをじっくり味わいたいと思った。

「雛美礼は、素敵な子だよ。雛美礼は、いい子だね。」

子守唄のように、繰り返し言っているうちに、雛美礼は、僕の腕の中で、寝息を立て始めた。
なんと無防備な、なんと、愛おしいのだろう。
もうしばらく、この重みを味わいたいと思った。

十分な睡眠から目を覚ますと、壁にかかったアナログ時計は、規則正しくリズムを刻みながら、お昼近くの時間を表示していました。
起き上がろうとした時、体中に鈍い痛みを感じました。
体が、昨日のことを思い返出せといっているようでした。
寝ぼけた頭で、昨夜のことを思い出してみると、体の中に確かに残っている記憶は、夢ではないとはっきり言っているのです。
肉体が覚えているのです。
内部から湧き上がった快感は、思考の記憶以上にはっきりと、残っているました。
なぜこんなことになってしまったのだろう?
掃除をする約束のアルバイトが、いつしか男と女の関係に変わり、私は、先生の前で、恥ずかしい姿を見せてしまったのです。
「付き合って欲しい。」
と言われ、
「返事は、ゆっくりします。」
そう言ったはずだったのに、おかしな方向に進んでしまったのです。
 
「先生だって、男だよ。マンションに誘うって、体目的じゃないの?」
私は、そんなことはないと、言い切ったけれど、京子の言葉か当たっていたのです。
心のどこかで、そうなってもいいと思っていたのかもしれませんが、現実は、私の知っている先生とは、別人の先生が、そこに居ました。
それでも、逃げ出さなかったのは、「先生が好き」と思っていたからだと思います。
好きだから、嫌われたくないと思ったのも事実です。
それ以上に、逃げ出さなかった最大の理由は、お金。これほど条件の良いアルバイトを捨てる気になれなかったのです。
確かに、今思えば、後悔です。
お金に目がくらんでしまったのですからね。
 
望んだかもしれない、肉体関係ですが、現実は、全く違ったのです。
想像した肉体関係とは全く違いました。
肉体関係、と言えるのでしょうか?私一人が、感じ、果てただけです。
あれは、セックスではないと思います。
でも、私は、感じて、逝ってしまったのですから、セックス?
セックスだというのなら・・・・
今までのセックスでは味わったことの無い強い刺激と達成感。
経験してしまうと、忘れられないのだと知りました。
私利私欲
欲しいものと欲しくないものを比べたとき、私は、欲しいものの方を優先したのです。
事実、思い返すと、嫌だと思う事もあります。
思い返して、はっとして、体の奥で、きゅんと感じるものがあるのです。
先生のお布団の中で、先生の香りのシーツに包まれて迎える朝
最高の朝です。
香りを胸いっぱいに吸い込むように深呼吸をしました。
シーツにくるまりながら、全身を伸ばし、ベットの上をゴロゴロと転がってみました。
最高のベッド・・・これと、引き換えにできるものは無いのです。


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