世の中にはコルビュジエを指示する人間も多くいるが、反コルビュジエ派も決して少なくない。
コルビュジェの建築は四角四面で個性をなくした上に、ガラスを多く使う。
屋上庭園を加味した近代の典型的な箱タイプの建築ものである。
自動車社会とマッチし、人間を排除した建築物としてオフィス街へとその思想は受け継がれて行った。
コルビュジェの建築にもっとも影響された日本の建築家は安藤忠雄である。
コンクリートの無機質な四角四面の建物にやはり透明ガラスで光彩を取り入れる手法で人気を得ている。
コンクリートを使うとものは長持ちしないことは既に知られている。白井晟一などが考えた自然の素材とはまったく異質な性格をもつ素材を、コルビュジェなどは使用してきたが、その形態に嫌気をさしたのが、本人自身である。
画家など本物の芸術家と接近し、彼らの自然で自由奔放な性格に魅せられて漸くロンシャンの教会を建築するが、既にコルビュジェの建築には精神性は欠如している。
競馬ファンがりっぱな教会ができたと喜んでいるのと、フランス政府が国葬扱いしたのがかえって象徴的である。
私もまた、コルビュジェと安藤忠雄のはったり野郎は大嫌いである。安藤は本人を目の前にしているだけに余計に嫌いである。通常建築家は哲学もかなり好んでやるものだが、安藤忠雄にはその要素がない。やっても理解ができないであろうから薦めないが、金儲けだけには才能があるようだ。
私が10代の時から通っていた上野の国会図書館分室は安藤の手によって化け物小屋に変身している。
コルビュジェの建築の西洋美術館は特徴のない建物である。思想もなければ単なるマッチ箱が足をつけて立っているようなものである。
日本人は名前に弱い。バブルの時も名前だけで美術を収集したが、結局普段から美術品を愛するだけの時間を持ち得ていない人間が、金だけ持ってしまう時に起きる、おごり高ぶりによって偽物をつかまされるのである。
以下は【朝日新聞】の記事の引用である。
コルビュジエ設計の国立西洋美術館、世界遺産候補に
2007年09月15日03時00分
政府の世界遺産条約関係省庁連絡会議は14日、東京・上野にある国立西洋美術館本館(59年完成)を、「モダニズム建築の巨匠」といわれるフランス人建築家ル・コルビュジエ(1887~1965年)の設計した建築群の一つとして、世界文化遺産の暫定リストに記載することを決めた。来年1月にフランス政府が、「ル・コルビュジエの建築と都市計画」として、世界23カ所のコルビュジエ建築を、日本など関係国政府と共にユネスコに正式に推薦し、09年夏の世界遺産登録を目指す。
世界文化遺産の候補入りが決まった国立西洋美術館=東京・上野で
ロンシャンの礼拝堂(仏)など、フランス、日本、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、インド、スイスの7カ国にある23カ所で、西洋美術館は日本にある唯一のコルビュジエ建築だ。仏政府から今年3月、日本側に推薦の打診があったという。
国を超えての世界文化遺産は、アルゼンチンとブラジルの「グアラニーのイエズス会伝道施設群」などが既に登録されているが、日本で候補は初めて。
世界遺産への推薦には重要文化財の指定が必要で、西洋美術館について文化庁は来年1月までに指定する方針だ。建造物の指定には完成後50年経過という目安があるが、同庁は「完成してほぼ50年たっており、国際協力の観点からも今回は特例的に扱う」という。