現役の内科医が書いた小説。クレーマー患者たちに悩む女性医師が、先輩医師や同僚とともに、患者たちと真摯に向き合い寄り添おうと努力する中で、人と人との絆を見つけ出してゆく物語。病院を「サービス業」と捉え、「患者様プライオリティー」を唱える佐々井記念病院の医師たちは、さまざまな問題を抱えていた。主人公の真野千晶は、半年前に大学病院を辞めてこちらに移った。彼女は聴診や触診から病人特有の気配を感じ取ることに長け、医師としての第六感的な直観力に優れている。「患者を診て治療する」というシンプルな医師像に立ち返りたいと思い、「患者を大事にする」と評判だった佐々井記念病院を選んだのだが、しかし、内情は評判とは少し違っており、病院の「患者様第一主義」「患者獲得競争」に振り回されて、納得のいかない〝3分診療〟を行わなくてはいけないジレンマを抱えている。その上、外来、病棟、夜勤と寝る暇もない日々。あげく「最悪のモンスター患者・座間敦司」に目を付けられ、執拗に嫌がらせを繰り返されることになる。唯一の救いは明るい性格で患者からも好かれているが、大きな医療訴訟を抱え悩む先輩女医浜口陽子らの存在だった。・・・・
読んでいてこれでもかと続く理不尽な患者の言動行いに読み進めるのが嫌になってしまった。救急外来や医療訴訟の実態もしかvり。大変な医療現場で人命を預かって働く彼ら彼女らの実態を知り自分だけは理解ある患者様になろうと思った。「患者に癒し続ける人でありなさい。その医療が、いかにささやかであろうが。愚鈍に見えようが、誤解を生もうが、力不足であろうが、それでいいんだ。」(P304)
2018年1月幻冬舎刊
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