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文京区千駄木の神社境内で1人の男が殺された。被害者は次期検事総長の椅子が確実だと言われていた東京高検検事長の梶田淳夫と判明。妻の話では、梶田は退勤後、九州から上京した高校時代の友人・久住に会う予定だったらしい。 久住に連絡を取ると、確かに梶田とは会ったが早い時間に別れており、梶田は急用があると言い、赤坂へ向かったという。 赤坂へ向かったはずの梶田はなぜ文京区にいたのか? 誰に会いに行ったのか?一方堀田市で起きた幼女誘拐殺人事件「堀田事件」の犯人として死刑判決を受けた赤江修一。彼は無実を主張したが、控訴、上告とも棄却され、判決確定後、わずか二年で刑を執行された。それから六年後――亡き赤江に代わり再審請求中の堀田事件弁護団宛に、真犯人を名乗る「山川夏夫」から手紙が届く。さらに一年後に届いた二通目の手紙の中には、犯人のものだという毛髪が入っていた。弁護団の須永英典弁護士は手紙の差出人を突き止めるべく、新聞記者の荒木らと調査を開始する。調査が進むにつれ、日本の刑事司法の根幹を揺るがす計略が浮かび上がる・・・。繋がりが見えない2つの事件と出来事、実は繋がっていたのだが・・・。
殺人事件の捜査の現代と、過去2つの物語が進行して無関係のはずの両者が交錯するとき、驚愕の事実が明らかになる死刑制度や冤罪について取り上げたミステリー。500頁の長編ですが丁寧な心理描写等飽きずにラストまで読めました。
2021年8月徳間書店刊