読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

幸田真音著「天 稟」

2020-07-10 | 幸田真音
山種証券創設者で山種美術館を作った山崎種二の人生を軸に、現代に通底する日本経済の危機を描いた、著者作家生活25年記念作品の歴史経済小説。明治41年(1908)、15歳で東京の回米問屋へ奉公に出た山崎種二はやがて金融街・兜町を代表するまでになる証券会社を設立し、「売りの山種」として経済界にその名を轟かせる存在になる。天性の相場観と経験を頼りに、日本の経済復興に尽くした男の人生の物語。関東大震災、二・二六事件を皮切りにした経済統制。太平洋戦争敗戦よっての経済は崩壊。国民生活に最悪の負担を強いた、戦後財政の実情が描かれていて興味深かった。戦後のインフレ・通貨切り替えなど財政破たんした日本経済を如何にして復興させたのか教訓にするべきことも多いと思った。種二が息子に金の使い方について言う「金というものは。使うときと使い方でこそ、使う人間の値打ちが決まる。」(P545)「天稟」とは天から授かった資質。生まれつき備わっているすぐれた才能。横山大観・河合玉堂、マッカーサー・若き日の池田隼人、福田赳夫・大平正芳など歴史上有名な人物も登場して楽しめた。
2020年3月KADOKAWA刊

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