ハードボイルド小説。『ラストトラップ』の前作(くしくも続編を先に読んでしまっていたため続編での人間関係を確かめることになってしまった)。舞台は華やかな成功の陰で、暗い落とし穴(ピットフォール)が口を開ける街、大都会ニューヨーク。黒人へ人種差別が残る1959年代。元刑事で探偵のジョー・スナイダーは、役者志望のシャーロット・コールという女性の行方不明を探してほしいと依頼を受ける。その矢先、黒人の探偵仲間ウィリーがイーストリバーで殺された。残忍な手口は、今まで白人女性ばかりを狙うイーストリバー・キラーと呼ばれる連続殺人事件の手口と同じだった。やがてシャーロットもイーストリバーで同じ手口で殺された状態で発見される。両方の犯人を捜すうちに驚愕の真相が浮かび上がる展開。当時のNYの状況は全く知識になかったが作者は当時のロックやブルース音楽や風俗を楽しみながら書いている様子が伺える。結末は当時ならそんなの有りかとも思われる解決法で胸が熱くなった。
2021年5月講談社文庫
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