大沢ワールド全開バブル期の郷愁漂うドラマ。主人公円堂はその不動産業の男に雇われていた元地上げ屋だ。自分の恋人が、雇い主と二股をかけていたのかと苦しみながら現在まで居酒屋業を営んでいる。1960年前後にわずか100台程度生産されたフェラーリ2500GTカリフォルニア・スパイダーは、最近のオークションで時価20億円もするらしい。バブル崩壊時に不動産業を営んでいた、「地上げの神様」と言われた二見興産の二見社長が、その車に円堂の恋人であった六本木のホステス君香を乗せてどこかに消えた。それから二人は消息不明になるが、円堂のもとに、バブル時代、ともに荒稼ぎをした盟友の中村から電話が入る。姿を消した社長の愛車であるクラシックカーの目撃情報が入ったという。忘れようとして忘れられぬ30年前の思い出が円堂の胸に蘇り、中村と二人でそのクルマの持ち主と、一緒に消えた女性を探し始めるが・・・。団塊の世代の古き良き思い出と、古い昭和の男性中心の価値観のドラマ。過去のバブルとスーパーカーの行方を巡る純愛・裏切り、友情、当時の債権者のヤクザなどが絡み読ませてくれました。
2022年6月双葉社刊
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