ロボット手術を題材に病院の権力をめぐる争いが絡め医療の在り方、命の意味を問う人間ドラマ。北海道中央大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條泰巳。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木一義が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。あるとき、難病の少年白石航の治療方針をめぐって、二人は対立。「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。大学病院の闇を暴こうとするフリーライターの黒沢巧は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫るのだった・・・・。二人の医師が衝突しあいながら、患者の命を救うためには何が最善かを考えつつ執刀する手術シーンは、緊迫感と臨場感にあふれています。西條の挫折と再起が書かれているのだが感情移入しにくい主人公で最後まで馴染めなかった。
「普通って何?健康でも手が不自由な人はいる・・・身体が健康でも心が傷ついている人もいる・・・走るのが苦手でも泳ぐのが得意だったり・・・この世の中にはいろんな人がいる。同じ人はいない。みんな違う。人と違うから普通じゃないなんてことはない」(P339)
2021年10月文藝春秋社刊
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます