黄色い日、白い日、赤い日―。映画、ロック、火花、そして街。10歳から19歳まで主人公山田解の幻覚のようなリアルな出来事だった。それは、誰かにいつか存在したであろう、ある瞬間、瞬間が書かれた20の短編集。小学校から中学、高校へと至る思春期女子の姿を、ときに時間軸を前後しながら描き出した作品であるのだが、場面は学校の教室や登下校が中心で、いかにも何もなさそうな世界ばかり。実際たいしたことは起きないのだが、読んでいると何か落ち着かない。何かとっつきにくい1冊であったが第一印象。ふわっとした日常を淡々と書かれているのだが、それが繋がっているようでいてつながっていないようで、詩的な幻想的な雰囲気の一遍一遍。暴力シーンなのにやたら緊張感が感じられず、関西弁ののんびり感漂う、異次元の世界の過去話なのだ。残念ながら私的には著者独特の『不安定感』を楽しみながらは読めなかった。
2011年2月毎日新聞社刊
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