「太陽は動かない」「森は動かない」と続く産業スパイ「AN通信」鷹野一彦シリーズ第3弾のサスペンス。このシリーズ共通テーマとも呼べる「生き残る」。前作が主人公鷹野一彦17歳のころの青春物語なら今回はその後の産業スパイとなった鷹野の活躍が描かれる。「情報」が売り買いされる現代社会の中で、産業スパイが生き抜くには、誰よりも早く有益な「情報」をいかに入手できるか。そして得たその「情報」をいかに生かすことができるかが重要。さっきまで味方だった相手が敵になり、また逆に必要ならば敵を味方にすることもありえる。騙し騙される日常では「誰のせいでもないことばかりで成り立っている世界」と割り切った生き方にと流されれることになってしまうのだが・・・。まるで映画を見てるようなスピード感ありの展開で一気に読めました。第一作から読むことをお勧め。
「情報というのは宝ですよ。宝探しに秀でた者がこの世のなかを制する」
「どんなことにも突破口はある。それを考えるんだ。これからお前がこの世界で生き残るために必要なことはたった一つ。考える、それだけだ」
「こいつを助けてやるなんて無理だと思う。でも、今日一日だけなら救ってやれる、とも思う。一日、そしてまた一日。それなら続けられそうな気がする」(本文より)
2018年5月幻冬舎刊
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