「一人で勝手にやれば」語る会 １２

蕎麦屋をはじめてもう７年目になりました。歯科技工をイイ子でやっていれば、こんな苦労をみんなにさせずに済んだものをと思います。何を勘違いしたかチョットしたきっかけでソバ打ちの世界へ入ってしまいました。今では本当に神仏のお計らいだと思っています。私の性格は「思いこんだら命がけ」。これは父親譲りです。いいも悪いも関係ありません。６０歳からえらい借金をして、今思えば、私にとって、ゾッとするような借金の額です。それと、持っていたほんのチョットばかりのお金、全部突っ込んで始めました。今だったら絶対やりません。みなさんは、「いいね、道楽で蕎麦屋をやって」などと云ってくれます。伊那松島でタクシーに乗り「蕎麦屋の、一燈まで」と云うと、タクシーの運転手も云うそうです。「あァ、あの道楽でやってる蕎麦屋かェ」。いいんです。「ハイ、道楽者ですから」と云っていますが、商売というのはそんな甘いもんじゃありませんでした。大変なんです。特に飲食業は大変です。自分でやってみてその大変さがよーく解りました。　続く。

「一人で勝手にやれば」語る会 １１

このような想いがありまして、身内の反対を押し切っての本日です。

こんな私ですから、今まで生きてきた中で、どうも私は、周りの方を引きずりながら、迷惑をいっぱいかけながら、恥ずかしく、愚かなことをいっぱいして生きてきたような気がしています。もっと云えば、自分勝手に我が儘な生き方をしてきたような気がしています。周りの人達が自分をどう思っているかなどあまり意識しなかったんでしょうかね。

こんな私でも、周りの良い方々に守られながら、迷惑もかけながら、今日まで何とかやってこられました。一燈の近くに住んでおられる先輩方や、友達、それに親戚の方々に何とお礼を云ったらよいのか言葉もありません。それ程皆さんによくしていただき、今があるのです。本当によい方々に恵まれ感謝しています。　続く。

「一人で勝手にやれば」語る会 １０

三つ目の理由は、講演会まがいの、このようなことを普通の人がやるから面白いんです。もっと云えば、バカな私がやるから意味があるんです。私が蕎麦屋を始めていなければ、今日、皆様の前でこうやってお話しする機会は間違ってもなかったと思います。不思議なことなんです。今日、この場で、今日お集まりいただいた皆様の前で、皆様のお顔を見ながら、この場の雰囲気を感じながら、自分の言葉で想いを語らなければ納得できなかったんです。私の話を文章にしてみたところでつまらない話でしかないんです。小説家なら読む人の心に響くような文章表現はできるでしょうが、私にはそんな才能などとても持ち合わせていません。自分の言葉を大事にしたかったんです。
私がたまに行く伊那の小料理屋に「ことのは」というお店があります。ママさんも素晴らしい女性ですが、お店の名前も気に入っています。「こ・と・の・は」と云う店名。言葉を大切にしたいという、その想いが伝わってくるようなお店です。　続く。

「一人で勝手にやれば」語る会 ９

ふたつ目は、私は生きているうちに自分のしたいことはやっておきたいという想いが強いからです。自分で意志決定できるのは生きている間だけだと思っています。元気な内に自分がどんな想いで生きているのかを、ご縁のある人達に知ってもらいたいのです。思っているだけでは伝わらない、だから、言葉に出して伝えたかった。ただそれだけなんです。今回の「一人で勝手にやれば」語る会も、皆さんの前で話したいという思いが高まってきてどうにもならなかったということなんです。理性や打算でやったわけではないんです。理性が強かったらこんなこと、絶対やっていないと思います。これは感性の世界です。言葉で説明できない言語道断の世界なんです。　続く。

「一人で勝手にやれば」語る会 ８

ご案内をお出しした方々からも様々な反応が返ってきました。「おめえが何話すだェ」とかね。「また、やるの」でもね、一番きつかったのは無視、無反応でした。でもそのお陰で、今まで生きてきた、生き様を反省することができました。そこまで周りから批判的な目で見られ、身内から反対されても止めなかった。何故止めなかったか。そのお話しをさせて下さい。

それは、「５月２９日にみんなの前で話すことにしたんだ」と今年の正月、何人かの人に口に出して宣言してしまったんです。そうすると今度は、多少のことがあっても引っ込みがつかなくなってしまった。口に出して言い始めると、その様に実現に向けて、周りの状況が動いていってしまうということはあるらしいんです。だから、こうありたいと思ったら、みんなに宣言するということは大事なことかもしれません。もしかしたら、宇宙の法則の一つかもしれません。　続く。