ならおうは穏やかに語る

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(09/08/23カウンターを付けました。)

太陽電池に韓国台湾が参入

2008-09-15 13:39:52 | Weblog
9/15の日経新聞朝刊に韓国台湾勢の太陽電池事業参入が載っていて、記事は半導体、液晶、と同じ危惧をはらんでいるとコメントしていた。

ちょっと前に知り合いから教わったちょっと怖い内容をかいつまんで紹介する。

三星(SAMSUNG)躍進の秘訣。

有名な韓国企業だ。韓国通貨危機後に急激に成長した。ここには国際化の日本企業とGlobal化の韓国企業の違いがあるとのこと。

まず、国際化とGlobal化の違いについて。

国際化は単に製造拠点を国外に移すだけ。設計・調達全て本社指示に準拠。つまり、人件費の安い拠点で人的作業を委託する制度だ。敢えて言うなら組立作業を委託すること。日本企業もよく利用している。DellやAppleも同じ事をしているが、彼等と日本企業の大きな違いは「彼等は自社で部品を作っていない」いわゆる水平統合だ。日本企業は垂直統合的になっている。
Global化は現地仕様を現地で設計して、部材を現地調達する事になる。
洗濯機を例にしてくれた。全自動で・・・なんて現地では超高級仕様で不要。むしろ二層式で40年ほど前のローラーシゴキ脱水でも良いくらいだ。
韓国企業はそこに目を付けた。現地ニーズにあった商品を現地で作って売ったのだ。日本の高品質高級品(スイスの腕時計じゃないが)は現地では不要なのだ。そうすると家電ブランドは韓国メーカーの独占になる。
もともと、こういう現地仕様とかは日本が得意だったはずだが、米国・欧州の言うブランドは世界統一基準の保持という言葉に騙されてしまったのかも知れない。

イノベーションと技術革新。

これは日本からサムソンに行った人が述べた内容とのこと。
韓国(台湾も)自国でイノベーション(画期的技術革新)を必要としない。語弊があるが、事業にイノベーションは不要という考えだ。イノベーションはたくさんの投資(研究開発費)が必要。基礎研究になればなるほど芽が出るかどうか判らないし、無駄な事も多い。
これは私の考えだが光ディスクもそういう例に良いと思う。CD規格からDVD、ブルーレイと高密度規格が開発されてきたが、CD以降はイノベーションではない。CDはLPの技術革新を不要とした。特にデジタル技術の萌芽を伴った。しかしデジタル技術はCDそのものを不要とする流れを生み出した。CD-R、CD-RW, MO, …色々な技術が開発され、大量の技術者を基礎原理からつぎこんだ。しかし、デジタル配信、高速通信、大容量HDD、大容量シリコンメモリーはつぎ込んできた大量の技術者の時間と金を「事業にとっての無駄」に変換してしまった。
今後、さらに安価になる固体メモリー類に光ディスクは取って代わられるだろう。
つまり、芽が出たモノでさえ、無駄になってしまうということだ。
将来のことが判ってたらそんなことしないって言うのは簡単だが、半導体メモリーとHDDが高価だから比較的安価な光ディスクをメモリーにしようというのが流れだったはず。カセットテープ、LP等のアナログ音源では不可能なデジタル信号処理(DSP)は媒体がCDだろうが、シリコンだろうが関係ない。いずれブルーレイディスクも無くなると思う。この辺は別記事にする予定。

韓国・台湾企業が事業にイノベーションを必要としないのは「研究開発には無駄が多い」からだ。日本は独自技術(オンリーワン)を大切にするから研究開発した技術を何とか製品化する、業界初、史上初、は日本の企業が大好きな言葉だ。だが、金儲けにとってはそんなもんどうでもよい。日本で開発された最新技術のリバースエンジニアでイノベーションは学べばよい。これが基本戦略。そのまま同じモノを出すと単なる猿まね企業だが、ここで技術の再構築(リストラクション)を行うと独自製品が生まれる。技術のリストラクションに必要なのは個々の要素技術の分解だ。どの要素技術がどういう機能を発揮しているのか、それをリストアップする。そして、必要機能(現地仕様に合わせた)の要素技術を再構築して商品にする。
その商品の中には最新技術はない。だが、欲しいものは入っている。近いモノで言うとWiiとかiPod。WiiやiPodは現地仕様とは異なるが、いずれも技術的イノベーションは無く、組み合わせの妙だ。言うなれば一流シェフが一般的材料で作った料理みたいなモノだ。日本企業の場合、珍奇な新素材で新料理を出している。そこで台湾、韓国企業はその新素材と調理法の一部を使って現地受けするモノを作る。ま、高級鮨屋と異なる、ナルトで作った寿司なんて感じだ。

イノベーションが無くても見かけ上は新技術で最先端企業に見られる事は多い。単にソフトの優劣に過ぎないのだが・・・。と言う愚痴は脇においといて、話を太陽電池事業に戻そう。

シリコン薄膜太陽電池。確かに半導体や液晶の製造装置が有れば作る事が出来る。
CVDと大面積ガラス板搬送技術、薄膜加工。だが、太陽電池は寿命の問題がある。25年の性能保証が彼等に出来るのだろうか。少し気がかりな点だ。製品寿命が数年以内の商品であればばれないが・・・。

さて、信頼性の問題も本題とは異なるので脇において、サムソンの躍進の秘訣は上述だけではない。ここは欧米風の企業風土も秘訣の一つだ。秘訣だらけかも知れないが、教えてもらった内容を元に書くとこうなる。

技術と技能の完全分離。つまりはメカニックとエンジニアの分離となる。

職人技。これはメカニックの得意分野であるが、技術革新はエンジニアとサイエンティスト:科学者によって成される。マイケル・クライトンによるとエンジニアとサイエンティストの違いも大きい。エンジニアはサイエンティストの思想の一部を具現化しているに過ぎないとか・・・。この辺は深いので私では言及できないが教えてもらった内容に基づくと、日本では定時後メカニックもエンジニアも一緒に酒を飲んで・・・という同じ釜の飯を喰うという間柄を重要視する。だからエンジニア自らモノを作るってのが礼賛される。ま、エンジニアでも良いポリシーが有ればサイエンティストに近づくのだが、半分メカニックに近いエンジニア中村某は政略的に某国大学教授に抜擢された。本来なら日本の大学とかがハンティングすべきだったが。おそらく十年後くらいに彼は日本に帰ってくるだろうが、その時、彼の価値は殆ど無いだろう。(技術を某国的に暴利にする手法は教えてくれるが)。

さて、韓国ではメカニックとエンジニアには大きな差がある。混じる事はない。これは某北欧企業の開発者と話をした時にも感じた。コンセプトと方針が重要であることが強い。職人重視になるとシーズからの発展となるが、マーケティングを含めたコンセプト(技術が判っていないとコンセプトは出せない:せいぜいSF)重視になるとニーズから必要なシーズを探す事になる。これはAppleも近いかも。

そして、これらが彼等の優位点であるなら、逆に不得意分野にもなる。それは技術のすりあわせと思う。

日本で強い産業は自動車産業とカメラ。プレーヤー多すぎはおいといても、良いものを出す事に変わりはない。BMWやMercedesの優位点が小さくなったという事も事実。この「良いモノ」は技術のすりあわせで出来ている。自動車もカメラ(光学機器)も同じ。これが日本の強みだと思う。というのは韓国・台湾のカメラと自動車が・・・のためだ。(最近韓国の車は良くなってきているが・・・)

そこで、そういう技術のスリあわせで電機メーカーがやることは多い。
洗濯機とエアコンと冷蔵庫にテレビ等のAV機器、そして調理器。これらの機器を車載ネットワークではないが電灯線ネットワークで繋ぐ。情報のやりとりではなく、エネルギーをやりとりしたい。とくに加熱・冷却という熱交換システムを接続できると家そのものが省エネルギーになる。
冷蔵庫は屋内に廃熱しているが、この屋内廃熱を冷暖房、給湯システムと共用することで無駄を無くす。この辺の接続はあのワンタッチカプラでできるはずで、工場のユーティリティ共用と同じ考え。
夏場の廃熱は給湯システムの余熱にヒートポンプで使えるし、給湯システムの維持にも有効。冬場のエアコンで作られる冷気は冷蔵庫・冷凍庫に送り込むってのも有効だろう。ヒートポンプ技術をうまく使いたいモノだ。ここで冷媒を介する以外にペルチェ素子を使う考えもあるかも知れない。

この様な、パパっと思いつく事以外でこれからの日本は省エネナンタラで取り組んでいかないと行けないだろう。さらに無線情報交換技術が必要になると思う。ヒートポンプは有線だが、ペルチェ素子のように電子を媒介として温度差をエネルギーにすると・・・って思うんだけどね。

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