The HISTORIAN(邦訳名『ヒストリアン』)がやっと400ページを超えた。400ページと言っても、何しろ全部で800ページを超える大作だから、まだ半分にしかならない。あのTHE DA VINCI CODE(邦訳名『ダ・ヴィンチ・コード』)でも、ペーパーバックで400ページちょっとだから、もう読み終えそうなところなのだが…。それはともかく、The HISTORIANのundead(不死なる者)の影を追う旅は、ロンドン、イスタンブールを経て、今、舞台は社会主義政権下のハンガリーはブダペストだ。
The HISTORIANを読んでいて強烈に感じるのは、ヨーロッパ人のトルコに対する恐れと憎悪だ。かつて、オスマントルコ帝国はスルタン(太守)メフメト二世の時代に、コンスタンチノープルを陥落させ、そこを新たな帝都としたのだが、メフメト二世はコンスタンチノープルを攻め落とした後、3日間だけ部下に自由に略奪することを認めたという。そのことが、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の首都として美しかった街を破壊してしまったた、という記述がThe HISTORIANには繰り返し出てくる。
そして、この物語の影の主役と言うべきワラキア公ヴラド・ツェペシュ(ドラキュラ)は、若かりし頃、人質としてオスマン帝国にあり、そこで拷問や処刑の技術を叩き込まれていた、ということも。
ヴラド・ツェペシュは後にワラキアに戻り、侵攻してきたオスマントルコ軍に対し、兵士を串刺しにしてさらすことでトルコ軍の心胆を寒からしめ、小国ながら、当時日の出の勢いでヨーロッパ諸国を席巻していたオスマントルコからの独立を維持した。ヴラド・ツェペシュは死後埋葬されたが、数年後その墓が暴かれた時、棺の中は空だったという(これは、歴史的な事実)。
そのことが、ヴァンパイア(=不死なる者)伝説の一つの発端になっていくのだが、それは「英雄は死なず(≒トルコの脅威から祖国を守り抜いた英雄は不死身で、今も守護神として我々を守っている)」という、民衆の願望でもあったのかもしれない(これは、私の想像。日本の、義経=ジンギスカン説なども、そのヴァリエーションかも)。とすれば、ヴァンパイアとは単純に「恐怖の怪物」や「忌むべき悪」とは言えなくなる。
THE DA VINCI CODEが、ある意味、キリスト教会あるいはキリスト教の教義そのものの根幹を揺るがしかねない本だとすれば、The HISTORIANとは何だろう? 私には、まだその答は見えていない。
とは言え、The HISTORIANはまだ半分の400ページが残っているので、この先、物語がどのように進んでいくのかはわからない。辞書と格闘しつつ原文で読んでいると、とにかく、なかなか進めずにまどろっこしいのだが、その分、細部にも目が行き、ちょっと得した気分になる。何しろ、著者Elizabeth Kostovaが10年を費やして書いたという本だ。流し読みしてしまっては申し訳ない。多分、読み終わるには、あとひと月はかかろう。お楽しみはこれからだ
The HISTORIANを読んでいて強烈に感じるのは、ヨーロッパ人のトルコに対する恐れと憎悪だ。かつて、オスマントルコ帝国はスルタン(太守)メフメト二世の時代に、コンスタンチノープルを陥落させ、そこを新たな帝都としたのだが、メフメト二世はコンスタンチノープルを攻め落とした後、3日間だけ部下に自由に略奪することを認めたという。そのことが、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の首都として美しかった街を破壊してしまったた、という記述がThe HISTORIANには繰り返し出てくる。
そして、この物語の影の主役と言うべきワラキア公ヴラド・ツェペシュ(ドラキュラ)は、若かりし頃、人質としてオスマン帝国にあり、そこで拷問や処刑の技術を叩き込まれていた、ということも。
ヴラド・ツェペシュは後にワラキアに戻り、侵攻してきたオスマントルコ軍に対し、兵士を串刺しにしてさらすことでトルコ軍の心胆を寒からしめ、小国ながら、当時日の出の勢いでヨーロッパ諸国を席巻していたオスマントルコからの独立を維持した。ヴラド・ツェペシュは死後埋葬されたが、数年後その墓が暴かれた時、棺の中は空だったという(これは、歴史的な事実)。
そのことが、ヴァンパイア(=不死なる者)伝説の一つの発端になっていくのだが、それは「英雄は死なず(≒トルコの脅威から祖国を守り抜いた英雄は不死身で、今も守護神として我々を守っている)」という、民衆の願望でもあったのかもしれない(これは、私の想像。日本の、義経=ジンギスカン説なども、そのヴァリエーションかも)。とすれば、ヴァンパイアとは単純に「恐怖の怪物」や「忌むべき悪」とは言えなくなる。
THE DA VINCI CODEが、ある意味、キリスト教会あるいはキリスト教の教義そのものの根幹を揺るがしかねない本だとすれば、The HISTORIANとは何だろう? 私には、まだその答は見えていない。
とは言え、The HISTORIANはまだ半分の400ページが残っているので、この先、物語がどのように進んでいくのかはわからない。辞書と格闘しつつ原文で読んでいると、とにかく、なかなか進めずにまどろっこしいのだが、その分、細部にも目が行き、ちょっと得した気分になる。何しろ、著者Elizabeth Kostovaが10年を費やして書いたという本だ。流し読みしてしまっては申し訳ない。多分、読み終わるには、あとひと月はかかろう。お楽しみはこれからだ
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