深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

「体験談」商法の罠

2005-10-06 12:18:50 | 業界のウラ事情
アガリクスの効果をうたった本を出していた史輝出版の取締役が、薬事法違反容疑で逮捕された。ニュースが伝えるところでは、アガリクス本の中に出てくる体験談は、みなフリーライターの「作文」で、監修者として名を連ねていた名誉教授は、売名行為を狙って名前を貸していたという。

恐らく、アガリクス自体は何らかの免疫活性効果があるのだろうが、それを健康書品会社と出版社が組んで「癌に効く」という”神話”を広めて、大々的に売っていたのがまずかったようだ。

ただ、これが薬事法上どうなのかということより、私はむしろ「体験談」を使ったマーケティング手法の闇をかいま見た事件だったところに注目している。

治療院の宣伝を例に取れば…
「私はとても腕のいい治療家です。どうかみなさん来て下さい」と書いてあっても、多分ほとんど誰も行かない。そもそも、自分で「私は腕がいい」なんて言ってる治療家なんて、胡散臭くて、とても治療を頼む気にはなれない。

しかし、代わりに『患者さんの声』として、「私は、この先生の治療を受けて、こんなに元気になりました」などという、「体験談」が載っていたらどうだろう。ましてそれが、自分とよく似た症状を抱えていた人だったとしたら…

書店のビジネス書コーナに行って、『売れる広告・チラシはこう作れ』なんてタイトルの本をパラパラめくってみると、「お客さんの体験談を入れると、反応率が上がる」なんてことが、大体どの本にも書いてある。それくらい、人は「第3者からの情報」に反応するのだ。自分で自分をほめてるヤツは胡散臭いが、みんながほめてるなら信用できる、という人間心理を利用したテクニックである。

それを知ってか知らずか、治療院のHPなどを見ていると、『患者さんの声』を大々的に載せているものがあったりする。これらはさすがに、史輝出版の体験談のような「作文」ではないと思うが、こういうものに目を通す時には、気をつけなければならないことがある。

「治った」という体験談はあっても、「治らなかった」という体験談が載ることはない

ということに、である。

「治った」という声の裏には、一体どれくらいの「治らなかった」という声が隠れているのだろうか、と考えてみることが、「体験談」商法にひっかからないことにつながる。来た人が100%治るような治療なんて、そもそもあり得ないのだから。

治療院の例を引いたが、もちろんエステ、痩身、英会話、占い、…みな同じ。大河ドラマ『義経』で、常磐御前が息子・義経に、遺言のように「世の中を見定めよ。表も、そして裏も」と行ってましたっけ。
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