絶版になったルドルフ・シュタイナーの『オカルト生理学』を読み解くシリーズ?の6回目は、人体と意識について。
シュタイナーは、高次の超感覚世界を捉えられるように霊的に開発した感覚器官を用いると思考、感情、意志などの心の働きは体内に物質的な過程を作り出すことがわかる、と述べる。
例えば、思考は液体状のものから物質を沈殿させるようなものであり、感情は液体を半固体化する過程が体内に生じる、と。つまり強い感情は生体の持つ流動性を損なわせる性質があるようだ。意志衝動に相関するのは熱作用で、体温を上昇させて生体を熱くする。
すなわち、そうした心の働きは体内に作用力を行使する現実の力である、というわけだ。ただ自我による意識活動は人間本性のほんの一部であって、その下には自律神経系が意識下へと抑制している諸過程が存在する(これについては「3」を参照)。このように生体は一方では意識的な自我組織からの、もう一方では無意識的な自我組織からの働きかけを受けている。そしてオカルト生理学では、それぞれを代表するものが血液系と骨格系であるとする。
「2」で書いたように血液系は自我の道具として働くのに対し、もう一方の極である骨格系は自我が血液中に自己を表現できるよう自我活動とは無縁でいる。そのため骨格系の変化は意識的な自我活動の下で進行し、意識的な自我は骨格系の中で生じる事柄を認識することはできない。対して内界系(つまり内臓諸器官)は低次の意識活動まで働きが至っていることから、意識の担い手であるアストラル体と関わっている。
さて上に述べたように、霊視的には自我における思考活動は一種の塩分沈殿のようなものとして捉えられるが、その一方でこの自我は堅牢な枠組みとしての骨格系を形成してきた。そして実際に骨は燐酸石灰と炭酸石灰、つまり沈殿した塩分からできている。それはオカルト生理学的な考え方が現実の身体と一致していることを表していると考えられなくもない。
こうしたオカルト生理学に従うならば、身体の物質的な部分(もう少し詳しく言えば、体内に生じる物質的な過程)に働きかけることができれば、思考、感情、意志などの心の部分への働きかけもできる、ということだ。
最後に今回もオマケでセミナー動画を。
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