深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

"Theory U"の衝撃 第1部

2009-05-18 01:00:56 | 心身宇宙論
Theory U=「U理論」は、MIT講師のオットー・シャーマー(Otto Scharmer)が提唱する新しい思考モデルで、日本ではコンサルタントの神田昌典さんらが強烈にプッシュしている。
Theory UのHP

私がそれを知るキッカケは、神田さんが主宰するALMACREATIONSからのメルマガにあった、CDセミナーの告知だった。神田さんが毎月出しているCDセミナーは、ここ2年くらいご無沙汰していたのだが、その告知文は読んで直感的に「聴きたい」と思った。そして「いつでも申し込めるんだから、そう急ぐことはないのに」という声を頭の一方で聞きながら、よくわからない何かに突き動かされるように、「購入」ボタンを押して、そのCDを申し込んでいた。
翌月に届いたALMACREATIONSのメルマガで知ったのだが、そのCDセミナーはメルマガでの告知後24時間で388件の購入申し込みがあったという。そのため生産が間に合わず、しばらくALMACREATIONSのHPの商品リストから消えていたほど。そのCDセミナーが、『これからのビジネスを形作る新理論-「U理論」を先取りする!』である。

私はCDセミナーを聴いて、シャーマーの著書である『Theory U: Leading From the Future as It Emerges』まで買ってしまった。以下は、私が神田さんのCDセミナー+ザッと眺めた『Theory U』(この本は530ページの大著なので、まだ全体を眺めるくらいしかできていない)から得たU理論の概要である。

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『Theory U』に先立つ『出現する未来(Presence: Human Purpose and the Field of Future)』の中に、医者と患者の双方に互いの関係性のあり方についてアンケートを取った結果というものが提示されている(らしい)。それによると、医者と患者には大きく次の4つの段階の関係性があるという。

レベル1というのは、患者が訴える症状を医者が治すという段階。ここでは「症状を取る/症状が取れる」ということに主たる関心がある。
レベル2は、そうした症状を引き起こす主たる原因を突き止め、医者が患者に是正を促す段階。「酒、タバコを減らしなさい」「暴飲暴食は控えなさい」などの生活指導は、この段階で行われる。
レベル3は、その人がなぜ酒に頼ってしまうのか、暴飲暴食をやめられない背景には何があるのかを、医者と患者が一緒になって考え、解決していく段階。
そしてレベル4なのだが、それは言葉では説明できない。しかし敢えて表現するなら、「私は何者か、なぜここにいるのか」を互いの関係性の中で見出していく段階であり、その中で今までになかった全く新しいアイディアが「降ってくる」というのが、このレベル4なのだという。

そしてアンケートでは、現状はオペレーションの95%がレベル1,2だけで占められているのに対して、医者も患者も95%の人がレベル3,4を望んでいる、という結果が出た。そのことをシャーマーがある会議の中で発表すると、会場から「その医療界で起きていることは教育界でも起きている」「行政の世界でも同じだ」…という声が次々に上がったという。つまり我々はほとんど全ての分野で、望んでいるものと全く違う現実を作ってしまっている、ということだ。それはなぜなのか? 思考プロセスをどのように変えれば、望むものと実際に作り出すものの解離をなくすことができるのか? ──シャーマーがU理論を作った背景には、そんな問いがあったようだ。

画家の仕事を考えると、画家が最終的に完成させた作品をさまざまな角度から論じる、ということはこれまでもずっとやられてきた。また、作品が完成していくプロセスを論じる、ということも行われている。しかし、画家が真っ白なキャンバスに向かい最初の1筆を入れる前までに、その頭の中では何が起こっているのか、ということは論じられたことがなかった。U理論は例えばその部分に着目することで、人間の思考モデルをstructure, process, thoughtの3つの側面から言語化し、再定義していく。

U理論の「U」は何かの略語ではなく、あり得べき思考パターンがアルファベットのUの字のような形を持って進んでいくことから名づけられた。『Theory U』が語るその思考パターンの流れとは、このようなものである。

まず、Uの字の左腕を上から下に向かう流れがあり、その中にはdownloading, seeing, sensingという段階がある。
downloadingとは、現在起こっている問題に過去の事例をそのまま当てはめて対処しようとする段階である。この段階で行うことは過去の焼き直しであって、そこからは新しい何かが生じることはない。
seeingとは、過去の事例からは離れて外側から見る段階である。downloadingからseeingへの移行は簡単で、特に痛みも伴わない。
sensingとは、wohle fieldから知覚が起こり始める段階であり、ここで人々の現実の経験と経験の全体サイクルに参加している感覚との間のフィードバック・ループに近づく。

そしてUの字のボトムに達すると、ここでpresensingという段階に入る。このpresensingはpresenceとsensingを組み合わせたシャーマーの造語で、起こり得る最高の未来と結びつくことを意味する。そして、このpresensingで重要なのは、手放すこと(letting go)である。このpresensingこそU理論の1つの核となるアイディアである、と言っていい。このpresensingをシャーマーは『Theory U』で次のように記述している。
When moving into the state of presensing, perception begins to happen from a future possibility that depends on us to come into reality. In the state we step into our real being, who we really are, our authentic self. Presensing is a movement where we approach our self from the emerging future.

次に、Uの字の右腕を上に向かってcrystalizing, prototyping, performingという段階が続く。
presensingが、起こり得る最高の未来との結びつき(It's just a connection. But, when we succeed in keeping that connection to our deeper source of knowing alive, we better tune into emerging future possibilities.)であるのに対して、crystalizingは起こり得る最高の未来から得たヴィジョンや意思を明確化する段階である。ここではpresensingで行った手放すというのとは逆の、受け入れる(letting come)ということを行う。
(※神田さんの解説では、letting comeを次のprototypingの段階で行われることとしているが、『Theory U』ではcrystalizingの原理の1つとして述べられている。)
prototypingは、明確になったヴィジョンや意思に基づいて、文字通りさまざまな試みを行う段階である。
そして、そこで試行錯誤した結果を持って、ここまでの段階で得た気づきを実体化するためのperformingという段階に入ることになる。そして画家は真っ白なキャンバスに最初の1筆を描くのである。
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…で更に話は続くのだが、長くなってしまったし疲れたので、続きは後日(って、誰か読むんだろうか? 実は書いてるオイラしか読んでなかったりして。ま、それでも書くんだけど)。

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4 コメント

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Unknown (nanahoshi)
2009-05-18 18:23:04
書いている先生 本人は読む必要がないでしょうが、福岡に数名は、蒼穹堂信者が居ますので
是非、続きを書いて下さい。
返信する
続きは後日 (sokyudo)
2009-05-18 20:26:59
>nanahoshi先生

ありがとうございまする。
私もまだ理解の程度が浅いので書くのが大変なのですが、またこの続きは後日書きたいと思います。
返信する
続きに期待してます (ひろひろ)
2009-05-18 22:34:05
先日の日曜勉強会で聞いて以来、気になってしょうがない話題です。
私も本を買っちゃおうかなとも思いますが、先に買った英文の本も読破しないと・・・なので。
続きを楽しみにしてます。
返信する
ここで書けるのは… (sokyudo)
2009-05-18 22:47:36
>ひろひろひろさん

日曜のセミナーで話したことも、思い出すと細かい漏れや誤りがあったようで、自分自身の頭の中を整理しつつ書いていました。
なお、ここで書けるのはあくまでU理論の大枠だけで、そこに至るための具体的な方法などはやはりシャーマーの本を見てもらわなければならないでしょう。そのうち日本語版も出るとは思いますが。
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