仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「日本国誕生の謎」 鯨清

2007-04-27 10:33:18 | 讀書録(歴史)
「日本国誕生の謎―卑弥呼~神武天皇までを解明! この銅鏡の絵は何を物語るか?! 」 鯨清
お薦め度:☆☆☆ /
2007年4月12日讀了


副題にある「この銅鏡」といふのは、奈良縣北葛城郡河合町にある佐味田寶塚古墳から出土した「家屋文鏡」のこと。
この「家屋文鏡」は、中國の「畫文帶神獸鏡」の「神獸」の部分に、高床式住居など4種の家屋が描かれてゐる倣製鏡(日本で作られた鏡)である。

著者は、本書の前半で、この鏡に描かれてゐる文樣と神武東征傳承との關係を述べてゐる。
すなはち、神武東征は史實であり、その後その偉業を顯彰するためにこの鏡が製作されたのだといふ。
鏡の製作年代がはつきり出來ないので、あくまでも假説ではあるが、これはなかなか面白いと思つた。
ただ、神武東征があつたとするのが3世紀後半、はたして佐味田寶塚古墳の築造年代とうまく整合性がとれるのかどうか。

後半には、邪馬臺國とヤマトの關係について説いてゐる。
「卑彌呼=天照大御神」で「邪馬臺國=高天原=甘木」といふくだりは、安本美典の説と一緒で理解できるし、天孫降臨説話が邪馬臺國の日向への遷都を現はしてゐるといふのも、理屈としてわからないでもない。
ただし、臺與(トヨ)がニニギの嫁はんであり、神武の母だといふのは、讀んでゐてよく理解できなかつた。



日本国誕生の謎―卑弥呼~神武天皇までを解明! この銅鏡の絵は何を物語るか?! (1978年)

日本文芸社

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