巨大古墳の被葬者は誰か廣済堂出版このアイテムの詳細を見る |
お薦め度:☆☆☆☆
厚さが4cmほどあるので、讀むにはそれなりの覺悟が必要だ。
通勤途中に、つり皮につかまりつつ片手で讀むには、手が疲れてたいへんである。
寢る前に讀むにも、横向きの姿勢で讀むしかない。
仰向けで讀んでゐると、眠つた瞬間に本を取落として、本が顏に落ちてきて怪我をする危險がある。
とまあ、どうでもよいことはさてをき。
この本では題名通り、巨大古墳の築造年代を特定してゆく假説構築・檢證プロセスが展開されてゐる。
その際にベースとなつてゐるのは、天皇在位一代平均10年といふ統計的事實(「安本理論」)である。
また、古墳のプロポーションをモデル化し、プロポーションが同じ古墳は同じ時期に築造されたといふ假説を導入してゐる。
これら二つの假説により、巨大古墳それぞれの築造年代に關する假説を立ててゆく。
そして、築造年代が考古學的に明確な古墳のプロポーションと比較し、假説を檢證してゐる。
「安本理論」そのものが假説である以上、絶對的な年代決定にはならないのは當然だが、
この假説を適用すると古代史の謎がかなり整合的に解明されてゆくのを見ると、この假説はかなり有力な假説だと云へるのではなからうか。
主觀的な「古代史論」の多い中で、安本氏の科學的な姿勢には頭の下る思ひがする。
學説として正しいかどうかはさてをき、古代史に思ひを致す向きには、必讀の書と云つてもよいのではないだらうか。
2005年11月讀了
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