仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「風の陣 [大望篇] 」 高橋克彦

2006-05-14 11:30:15 | 讀書録(一般)
「風の陣 [大望篇] 」 高橋克彦

お薦め度:☆☆☆☆
2006年5月8日読了


「風の陣 立志篇」 の續篇。
「立志篇」では「橘奈良麻呂の變」がストーリーの中心となつてゐたが、
今囘はその後の藤原仲麻呂改め惠美押勝と孝謙太上天皇との政爭が舞臺となつてゐる。

橘奈良麻呂を排除した藤原仲麻呂は淳仁天皇を傀儡として、名を惠美押勝と改め、獨裁的權力を手に入れた。
その押勝の後ろ盾となつてゐるのは、先帝孝謙の母、光明皇太后であつた。
しかし、光明皇太后が亡くなると、孝謙太上天皇と押勝との關係に微妙な變化が生まれた。

陸奧の黄金に目を付けた押勝は、自分の息子を陸奧守に任命した。
危機感を抱いた天鈴は、押勝を排除する戰略を立てる。
押勝によつて太宰府に遠ざけられてゐる吉備眞備を中央に復歸させやうといふのだ。
それと同時に、孝謙太上天皇の勢力を利用するために、弓削道鏡を支援する策を講じた。

孝謙太上天皇と押勝の間に疑心暗鬼を起こさせ、ついに押勝に謀反の企みがあるとする状況を作り出した。
そして、嶋足は押勝を追討する戰ひで手柄をたて、官位は從七位上から從四位下まで一氣に十一階位も引上げられた。
これで、嶋足は官位の上では陸奧守の職以上の官位となつたのである。

蝦夷の地を蝦夷の手で治めるといふ目的の達成に限りなく近づいた嶋足と天鈴。
しかし、今度は道鏡が權力を持ち過ぎるやうになる。
果して、次の卷ではどのやうになるのか、樂しみだ。


2006年5月8日讀了


風の陣[大望篇]

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