仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「時生」 東野圭吾

2006-01-01 18:13:03 | 仙丈亭特選本(5つ星)
時生

講談社

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お薦め度:☆☆☆☆☆


「そんなバカなことあるわけないぢやん」
小説を讀んでさういふことを思ふやうであれば、この作品を讀む資格はない。
リアルであることが小説の價値ではない。
むしろ、リアルでないことを説得力を持つて表現するところに小説の價値がある。

この作品はまさにそれを實現してゐる。
あり得ないことを描いてゐるにもかかはらず、讀者には眞實が傳はつてくる。
これこそが小説だ。

主人公は妻とともに息子の最期に立合つてゐる。
その最期に、初めて妻に息子との思ひでを語るのだ。
それは、自分がまだ妻と知合ふ前のこと。
息子に會つたことがあるといふのだ。
出會つたのは淺草の「花やしき」・・・

2時間以上語り續けて、たうとうその時がきた。
主人公は自分に殘された重要な仕事に氣づくのである。
そして彼は息子に向つて聲をかぎりに叫んだ。
「トキオっ!花やしきで待つてるぞ」

不覺にも涙が流れて止まらなかつた。
かういふ小説があるといふことは倖せなことだ。


2005年10月11日讀了


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (あさやん)
2006-01-03 13:01:53
TBありがとうございます。
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こちらこそ! (仙丈)
2006-01-03 19:33:56
あさやんさん



こちらこそ!

ご丁寧にどうもありがたうございました。



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遅くなりましたが、 (ユタパパ)
2006-01-08 11:47:10
遅くなりましたが、おめでとうございます!

今年もよろしくお願いします。



「時生」私が始めて手に取った東野作品です。

読み終わってから眼が滲んでしまいました。

この「時生」で東野ワールドに引き込まれてしまいました。



それと、お知らせですが、ブログを移転しました。タイトルも変更しました。リンク集を一新して、リンクに加えさせていただきました。

これからもよろしくお願いいたします。
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こちらこそ (仙丈)
2006-01-09 22:02:02
ユタパパさん



こちらこそ、遲くなりましたが、あけましておめでたうございます!



「時生」、良いですね~

涙もろい自分ですが、いつそ泣けて氣持ち良いと思ひました。



新ブログに移轉されたのですね~

今年もヨロシクです!



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こんにちわ(^^) (リエ)
2006-01-10 16:12:34
TBとコメントにタイムロスがありますが・・・

TBアリガトウございました

こちらからも貼り付けさせていただきました



あたしは将来子供が生まれたら、時生と名づけたい・・・と企んでおります。
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ありがたう! (仙丈)
2006-01-10 20:07:01
リエさん



コメント、どうもありがたう。

子供に「時生」、いいですね~

でも病氣にならないやうにしないとね!



ちなみに「亡國のイージス」、いいですよ。

原作讀んで感動し、映畫も見に行きました。

映畫では、中井貴一の存在感が凄かつたです。

河童や狸と遊んでゐるをぢさんとのギャップが・・・(笑)

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好きです (みわ)
2006-09-21 23:29:43
たくさんのTBありがとうございます。

時生は東野さんらしい、優しくて不思議な雰囲気の

ストーリーでしたよね。

私もとても好きだと思いました。(*^_^*)
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申し譯ない (仙丈)
2006-09-21 23:36:04
みわさん



以前に「ネバーランド」に關するコメントを頂き、お讀みになられた感想を拜見したついでに、最近讀んだ「夜のピクニック」のTBをし、さらに序でにいろいろTBしてしまひました。

ついでばかりで申し譯ありませぬ・・・

「時生」は父と息子との關係について考へさせられました。

ああいふ息子がゐたら父親冥利につきますね~



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1979年の頃 (福田浩司賞味大臣)
2008-08-11 04:20:42
読みました複雑な境遇の主人公のダメ男ぶりが救いようないがトキオが明るくしていましたね。そんなに大昔に感じなかったのはサザンや矢沢や中島みゆきが今も当時も活躍しているからでしょうか。名前だけとはいえ悪役で石原裕次郎の名が出てくるのも斬新というか懐かしい。あの役今の石原良純がやると面白そう。それにしても汚職はやるせないです
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Unknown (仙丈)
2008-08-11 04:35:43
1979年・・・
私は東京・お茶の水の某豫備校で浪人生活を送つてゐました。
いまから思ふと懷かしい日々です。
ですので、この年代には思ひ入れがあつたりします。
巷には「いとしのエリー」が流れてゐました。
サザンも30周年を迎へたのですねえ。

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