仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

【昔の手帳から】 2月12日 (81年:ジャンボ、84年:リヒテル公演)

2012-02-12 00:01:00 | 昔の手帳から
【1981年】(1囘生)

13:10~14:00 獨語 (A219)
絶對にアカン。穴埋め2題解いたのみ。
お好み燒き屋 (スギモト、モギ、シイハラ)

木曜日。

西本教授のドイツ語初級の試驗。
西本教授は我々L1クラスの擔任教授だつた。
それにも拘らず私はあまり(殆ど)出席してゐなかつた。
事前にクラスメイトからテキストの和譯を入手してゐたものの、問題を讀んでもどこが出題されてゐるのかすらわからなかつた。
結局、解答したのは單純な穴埋め問題だけで、それも正解だつたかどうか不明。
當然のことながら單位は取れなかつた。

前日、高校の同級生だつたシイハラが千葉から遊びに來た。
この日は高校3年の時の同級生で同じ大學に通ふスギモトとモギがシイハラに會ひにやつて來た。
スギモトはシイハラとはテニス部で一緒だつたが、モギとシイハラの高校での接點は不明。
スギモトは車を持つてゐたので、みんなでお好み燒きを食べに行つた。
行つたのは、等持院の近くにある 「ジャンボ」
いまでも有名な店だが、當時から人氣の店で、店に前には行列が出來てゐた。
たまたま私たちの行つた時がちやうどタイミングが惡かつたやうで、店の中に入つてからも1時間ちかく待たされた。
私はもともとソースがあまり好きではなかつたのだが、ソースの燒ける臭ひで待つてゐるうちに胸燒けしてしまひ、氣持ちが惡くなつてしまつた。
やつと順番が廻つて來て席についたら、とんでもない大きさのお好み燒き。
マヨネーズの酸つぱい臭ひとソースの甘つたるい臭ひに、巨大なお好み燒き。
食べ始めてすぐに限界點に達してしまつた。
もう見るのもイヤだといふ感じ。
この時の經驗がトラウマとなり、いまでも私はお好み燒きが好きではない。




【1982年】(2囘生)

¥10,000 盜まれる

金曜日。

83年の7月17日に、 預つてゐた夏期講習の受講代金約10萬圓を盜まれた ことがあつた。
額が額だけに、それははつきり覺えてゐる。
でも、この日1萬圓盜まれたことは覺えてゐない。
手帳にはメモしてゐるが、騷ぎ立てることはしなかつたのだらう。




【1983年】(3囘生)

花房晴美 Pfリサイタル ticket購入
S¥2,500×2 ¥5,000

土曜日。

Hと一緒に聽きに行かうと、2月18日の 花房晴美 のピアノリサイタルのチケットを買つた。
演奏曲目の中に、ベートーヴェンのピアノソナタ32番があつた。
この曲は、 鴫原先生の英語の試驗 のお蔭で好きになつた曲。
この曲を生演奏で聽くのはこれが初めてだつたので樂しみだつた。




【1984年】(4囘生)

14:00~ Sym.H. リヒテル大阪公演 (N11.12)
シバヤマさん 13:00 阪急梅田、紀伊國屋前
素敵な演奏。小品に廣大な世界が廣がる。音の吸引力。
HにTel

日曜日。

ザ・シンフォニーホールでリヒテルのコンサート。
もともとは、Hと一緒に聽きたいと思つて買つたチケットだつた。
私はリヒテルの大ファンだつたので、彼女にも聽いて欲しいと思つたのだつた。
でも、彼女は行かないと云ふ。
すでにこの頃、彼女は私と別れるつもりだつたらしい。

仕方ないので、と云つては失禮だが、富雄本部で講師をしてゐるシバヤマさんを誘つた。
シバヤマさんは同じ大學のOGで、クラシックも好きだと聞いてゐた。
確か、彼女はカラヤンファンだと云つてゐた。
私もこの4月から枚方の塾から富雄本部へ異動することになつてゐたので、親しくなるにはいい機會かなとも思つた。
と云つても、彼女は人妻なのだが。

初めて聽くリヒテルの演奏は、期待通り素晴らしかつた。
演奏曲目は以下の通り。
     チャイコフスキー 四季 作品37の5,6,11,1
     チャイコフスキー 夜想曲 ヘ長調 作品10の1
     チャイコフスキー ワルツ スケルツォ イ長調 作品7
     チャイコフスキー フモレスケ 作品10の2
     チャイコフスキー カプリチオソ 作品19の5
     チャイコフスキー ワルツ 変イ長調 作品40の8
     チャイコフスキー ロマンス ヘ短調 作品5
     ラフマニノフ   練習曲「音の絵」作品33の8,4,5、作品39の1,2,3,4,9

照明を極端に落したなかで、ピアノに向ふリヒテルの姿が浮び上がる。
眼鏡をかけて樂譜に向ひ、時に強靱な、時に纖細な音で音樂を紡ぎ出すリヒテル。
彈いた曲はすべて小曲ばかりなのに、そのそれぞれに廣大な世界が廣がる思ひがした。
あたりが暗い所爲もあらうが、聽いてゐる私たちも音そのものに集中することが出來た。
そして、その音のもつ吸引力たるや、私たちを否應なしにリヒテルの音樂の世界へと引込むのであつた。
いまだに覺えてゐるのはチャイコフスキーの「四季」。
ピアノの練習に彈かれるやうな曲なのに、リヒテルの手にかかるとまるで別の曲のやうに聞えるから不思議。
そしてラフマニノフの「音の絵」。
難しいパッセージをさらりと彈いてみせるピアニストはたくさんゐるが、リヒテルはそれをずつしりと彈く。
まるで音に重さがあるかのやうに。
Hと聽きたかつたなあと、しみじみ思つた。

アパートに歸つてからHに電話をした。
リヒテルを聽いた感動を傳へたかつたのだと思ふ。
次のリヒテルの公演は、 3月7日 のブラームス。
今度はHと一緒だ。
樂しみだつた。






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