『星守る犬』 村上たかし
お薦め度:特選☆☆☆☆☆ /
2010年3月4日讀了
去年のクリスマスに、 たかはしかずきさんのブログ「猫爪の三日月」で紹介されてゐた のを讀んで、いつか讀みたいと思つてゐた。
樂天ブックスで注文し、先日手許に屆いた。
小説だと思つてゐたのだが、屆いてみたらコミックスだつた。
けふ、ハローワークで待ち時間に讀んでゐたら、涙が溢れて來てしまつた。
慌てて本を閉ぢ、深呼吸をした。
もし誰か見てゐる人がゐたなら、きつと不氣味に思つたに違ひない。
もしくは、場所が場所だけに、妙な心配をされたかもしれない。
私はもともと見掛けによらず涙もろい。
誰も信じてくれないが、事實だ。
だから、たとへば淺田次郎の小説を讀む時などは用心してゐる。
それでも涙が溢れてくるのだから始末が惡い。
たかはしかずきさんが、泣いた、と書いてゐたのでヤバイかなと一瞬思つたのだが、コミックスだといふことで油斷した。
その擧句がこのザマだ。
50オヤヂのくせに情けない。
・・・・・・・・・・
妻と娘の自主性を重んじて、「お前の思ふやうにすればいい」といふスタンスのおとうさん。
自分は家族の意見を尊重し耐へて忍ぶ世帶主だと、おとうさんは思つてゐた。
しかし、それは家族への無關心ととられる危險性と背中合せだつた。
娘が捨て犬を拾つて來た。
犬は娘にハッピーと名付けられた。
餌をやるのはおかあさん、散歩に連れていくのはおとうさん。
きつとハッピーにとつては最高に倖せな時だつただらう。
おとうさんにとつても・・・
やがて、娘は厚化粧をし鼻やら舌やらにピアスをするやうになり、おかあさんのいふことをきかなくなる。
おとうさんは失業し、持病を抱へてゐる。
そして、おかあさんは、さういふおとうさんを支へる氣になれないと云つて、去つて行く。
ひとりきりになつたおとうさんは、家財を處分して金をつくり、ハッピーとともに故郷を目指して、クルマで南へと旅立つた。
粗筋はここまで。
このおとうさんが何故こんなことになつてしまふのだらう。
理不盡だと思つた。
家族のために働き、自分の樂しみも殆どない。
さういふ生き方はもはや古いといふのだらうか。
失業し持病を抱へた夫を見放す妻。
したい放題の娘。
おそらく彼女達をそのやうにした原因はおとうさんにあるのかもしれない。
それでもなほ、私にはおとうさんがかわいさうだつた。
ちなみに、ここで私は涙したわけではない。
ハッピーとともに旅に出てからのおとうさんは、生き生きしてゐたと思ふ。
ハッピーのために自分に出來ることをすべてしたおとうさん。
そのおとうさんと一緒にゐられることに倖せを感じてゐたハッピー。
もしかしたら、この一人と一匹は倖せだつたのかもしれない。
この旅の終焉で私は涙が止らなくなつた。
ハッピーがおとうさんに寄せる思ひ。
犬はどうしてここまで純粹なんだらう。
人間のやうに打算もなく、ただ人間に溢れるばかりの信頼を寄せ、人間に寄り添つてくれる。
犬の壽命は短い。
犬にとつての1年は、人間の6~7年に相當するといふ。
だからこそ、犬を飼ふものは、犬を精一杯愛さなければならないと思ふ。
いつかそのうち、ではダメ。
いまここで、愛さなくてはならない。
我が家の穗高くんは倖せだらうか?
彼が亡くなる時に、倖せだつたと思つてくれるだらうか?
最近散歩にも行かなくなりボール遊びもしてゐない私は、この本を讀み了へて自責の念にかられてゐる。
これからは、彼と一緒にゐる時間をもつともつと大切にしたい。
お薦め度:特選☆☆☆☆☆ /
2010年3月4日讀了
去年のクリスマスに、 たかはしかずきさんのブログ「猫爪の三日月」で紹介されてゐた のを讀んで、いつか讀みたいと思つてゐた。
樂天ブックスで注文し、先日手許に屆いた。
小説だと思つてゐたのだが、屆いてみたらコミックスだつた。
けふ、ハローワークで待ち時間に讀んでゐたら、涙が溢れて來てしまつた。
慌てて本を閉ぢ、深呼吸をした。
もし誰か見てゐる人がゐたなら、きつと不氣味に思つたに違ひない。
もしくは、場所が場所だけに、妙な心配をされたかもしれない。
私はもともと見掛けによらず涙もろい。
誰も信じてくれないが、事實だ。
だから、たとへば淺田次郎の小説を讀む時などは用心してゐる。
それでも涙が溢れてくるのだから始末が惡い。
たかはしかずきさんが、泣いた、と書いてゐたのでヤバイかなと一瞬思つたのだが、コミックスだといふことで油斷した。
その擧句がこのザマだ。
50オヤヂのくせに情けない。
・・・・・・・・・・
妻と娘の自主性を重んじて、「お前の思ふやうにすればいい」といふスタンスのおとうさん。
自分は家族の意見を尊重し耐へて忍ぶ世帶主だと、おとうさんは思つてゐた。
しかし、それは家族への無關心ととられる危險性と背中合せだつた。
娘が捨て犬を拾つて來た。
犬は娘にハッピーと名付けられた。
餌をやるのはおかあさん、散歩に連れていくのはおとうさん。
きつとハッピーにとつては最高に倖せな時だつただらう。
おとうさんにとつても・・・
やがて、娘は厚化粧をし鼻やら舌やらにピアスをするやうになり、おかあさんのいふことをきかなくなる。
おとうさんは失業し、持病を抱へてゐる。
そして、おかあさんは、さういふおとうさんを支へる氣になれないと云つて、去つて行く。
ひとりきりになつたおとうさんは、家財を處分して金をつくり、ハッピーとともに故郷を目指して、クルマで南へと旅立つた。
粗筋はここまで。
このおとうさんが何故こんなことになつてしまふのだらう。
理不盡だと思つた。
家族のために働き、自分の樂しみも殆どない。
さういふ生き方はもはや古いといふのだらうか。
失業し持病を抱へた夫を見放す妻。
したい放題の娘。
おそらく彼女達をそのやうにした原因はおとうさんにあるのかもしれない。
それでもなほ、私にはおとうさんがかわいさうだつた。
ちなみに、ここで私は涙したわけではない。
ハッピーとともに旅に出てからのおとうさんは、生き生きしてゐたと思ふ。
ハッピーのために自分に出來ることをすべてしたおとうさん。
そのおとうさんと一緒にゐられることに倖せを感じてゐたハッピー。
もしかしたら、この一人と一匹は倖せだつたのかもしれない。
この旅の終焉で私は涙が止らなくなつた。
ハッピーがおとうさんに寄せる思ひ。
犬はどうしてここまで純粹なんだらう。
人間のやうに打算もなく、ただ人間に溢れるばかりの信頼を寄せ、人間に寄り添つてくれる。
犬の壽命は短い。
犬にとつての1年は、人間の6~7年に相當するといふ。
だからこそ、犬を飼ふものは、犬を精一杯愛さなければならないと思ふ。
いつかそのうち、ではダメ。
いまここで、愛さなくてはならない。
我が家の穗高くんは倖せだらうか?
彼が亡くなる時に、倖せだつたと思つてくれるだらうか?
最近散歩にも行かなくなりボール遊びもしてゐない私は、この本を讀み了へて自責の念にかられてゐる。
これからは、彼と一緒にゐる時間をもつともつと大切にしたい。
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ビックリしました。 なんか照れますね(笑)
あたしもすごい涙もろい人間で、
妹にこの本を薦めているだけで泣きそうでした。
表紙見るだけでも想い出して「じわり」としてきてしまいます。
油断できない(笑)
おとうさん、きっと『不器用』なんでしょうね。
おとうさん側の意見も、おかあさん側の意見もどちらも解るだけに
なんかすごく残念でならなかったです。
ウチの親戚にも不器用な「おとうさん」がいるからなぁ~
讀み了へてから表紙を見ると、ハッピーの純心な表情に、またほろりと來てしまひます。
不器用なおとうさんもかはいさう。
昔は「不器用ですから」(by 高倉健)といふコマーシャルで、不器用な男にも人氣が出たこともあつたんですけど・・・