「柔道讃歌」(全16卷) 梶原一騎 原作 / 貝塚ひろし 作画
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年7月16日讀了(再讀)
ヤフオクで若木書房から出たオリジナルのコミック全16卷を5千円で落札した。
でも確か「少年サンデー」に連載されてゐたやうに記憶してゐるのだが、なぜ若木書房のコミック・メイトで出てゐるのだらう。
もしかしたら、これはオリジナルのコミックスではないのかもしれない。
ともあれ、稀少本であることは間違ひない。
5千円での落札は安いと思つた。
それはそれとして。
讀み返してみて、主人公・巴突進太の母、巴輝子の凛々しさに惚れてしまつた。
この母は、舊姓・朝香輝子と云ひ、講道館でも女三四郎として名を馳せた柔道家だつた。
ところが、「柔よく剛を制す」の夢にとり憑かれた朝香輝子は、タブーを犯して男の柔道家に挑戰して、巴投げで勝つてしまつたのだ。
女に投げられた男と蔑まれた柔道家は講道館を去つて、その後、自殺してしまつたといふ。
投げた朝香輝子も柔道界から追放されてしまつたのだつた。
さて、主人公の通ふ高校に、利鎌龍平といふ國語教師がゐるのだが、この男がなんと、その自殺した柔道家の弟で、しかも兄の復讐のために鬼となつた柔道家・不忍龍平その人だつたのだ。
この男が柔道部の顧問となり、巴突進太を鍛へ上げてゆく。
とまあ、さういふ背景があるのだが、私が好きなシーンは第3卷。
巴輝子がアメリカから興行に來てゐた女子プロレスのチャンピオンを巴投げで豪快に投げ飛ばすシーンだ。
じつは、これは突進太に見せるためのこと。
大男に負けて「柔よく剛を制す」などとは昔話に過ぎないとうちひしがれてゐた突進太が、母の巴投げを目の當たりにして、ふたたび「柔よく剛を制す」の夢の實現を目指して「突進」する契機となるのであつた。
人はこの母子を稱して「母子シャチ」と呼ぶ。
この「母子シャチ」に鬼の利鎌龍平が惚れてしまつたから、話は膨らみ、味はひが出てくる。
このあたりはさすが梶原一騎だと思ふ。
梶原一騎はすでに、「巨人の星」で野球を、「あしたのジョー」でボクシングの世界を描いてゐる。
そして、この「柔道讃歌」で柔道を描き、さらには「空手バカ一代」で空手を描く。
確かこの「柔道讃歌」の連載は、私が中學1年の頃に始まつたと思ふ。
そして「空手バカ一代」も殆ど同じ頃だつた筈だ。
私たちの世代は、いはゆる「スポーツ根性」、略して「スポコン」もので育つた世代。
どうしても頑張つてしまふ世代なのだ。
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年7月16日讀了(再讀)
ヤフオクで若木書房から出たオリジナルのコミック全16卷を5千円で落札した。
でも確か「少年サンデー」に連載されてゐたやうに記憶してゐるのだが、なぜ若木書房のコミック・メイトで出てゐるのだらう。
もしかしたら、これはオリジナルのコミックスではないのかもしれない。
ともあれ、稀少本であることは間違ひない。
5千円での落札は安いと思つた。
それはそれとして。
讀み返してみて、主人公・巴突進太の母、巴輝子の凛々しさに惚れてしまつた。
この母は、舊姓・朝香輝子と云ひ、講道館でも女三四郎として名を馳せた柔道家だつた。
ところが、「柔よく剛を制す」の夢にとり憑かれた朝香輝子は、タブーを犯して男の柔道家に挑戰して、巴投げで勝つてしまつたのだ。
女に投げられた男と蔑まれた柔道家は講道館を去つて、その後、自殺してしまつたといふ。
投げた朝香輝子も柔道界から追放されてしまつたのだつた。
さて、主人公の通ふ高校に、利鎌龍平といふ國語教師がゐるのだが、この男がなんと、その自殺した柔道家の弟で、しかも兄の復讐のために鬼となつた柔道家・不忍龍平その人だつたのだ。
この男が柔道部の顧問となり、巴突進太を鍛へ上げてゆく。
とまあ、さういふ背景があるのだが、私が好きなシーンは第3卷。
巴輝子がアメリカから興行に來てゐた女子プロレスのチャンピオンを巴投げで豪快に投げ飛ばすシーンだ。
じつは、これは突進太に見せるためのこと。
大男に負けて「柔よく剛を制す」などとは昔話に過ぎないとうちひしがれてゐた突進太が、母の巴投げを目の當たりにして、ふたたび「柔よく剛を制す」の夢の實現を目指して「突進」する契機となるのであつた。
人はこの母子を稱して「母子シャチ」と呼ぶ。
この「母子シャチ」に鬼の利鎌龍平が惚れてしまつたから、話は膨らみ、味はひが出てくる。
このあたりはさすが梶原一騎だと思ふ。
梶原一騎はすでに、「巨人の星」で野球を、「あしたのジョー」でボクシングの世界を描いてゐる。
そして、この「柔道讃歌」で柔道を描き、さらには「空手バカ一代」で空手を描く。
確かこの「柔道讃歌」の連載は、私が中學1年の頃に始まつたと思ふ。
そして「空手バカ一代」も殆ど同じ頃だつた筈だ。
私たちの世代は、いはゆる「スポーツ根性」、略して「スポコン」もので育つた世代。
どうしても頑張つてしまふ世代なのだ。
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