ネバーランド集英社このアイテムの詳細を見る |
著者名 恩田陸 発行年(西暦) 2003
出版者 集英社文庫 値段 500-600円
お薦め度 :☆☆☆☆☆
東京へ出張する「のぞみ」の車中で讀んだ。
つい3日前に讀んだ「光の帝國 常野物語」が恩田陸で一番面白かつたと書いたが、記録更新。
この「ネバーランド」が最高!
私は恩田陸の書く高校生はいつも素晴らしいと思つてゐるが、この作品はその最高峰である。
4人の高校生のひとりひとりに共感できてしまふ。
年末年始を學生寮に居殘つてすごす4人の高校生たち。
一日いちにちと一緒に過すうちに、お互ひがお互ひを理解して自分を表に出すやうになつていく過程が、
私自身の高校生活、特に山岳部での體驗とクロスオーバーして、面白く讀むことができた。
三島由紀夫の「假面の告白」が小道具に使はれてゐるのも、三島ファンの私にとつては、知らない町で偶然知人に逢つたやうで、嬉しかつた。
寛司が寮に入らうとする兩親に向かつて叫ぶセリフ。
「あんたたちには會社や馴染の店や實家があるだろうけど、今の俺にはここしかない。俺の世界はここだけだ。
俺は、こいつらと一緒に、ここで毎日飯食つて暮らしてゐるんだ。これは、俺のだ。あんたたちのじゃない。
俺の人生も尊重してくれたっていいじゃないか。俺の部屋に入るな。ここには入つてこないでくれよっ」
4人ともいいやつらだが、私の好みは光浩と寛司、どちらか一人となると寛司かな。
離婚目前の兩親を評して、
「うちつてさ、たつた三人しかゐない零細企業のくせに、社長が二人ゐるやうなもんなんだよな。どう考へたつてうまくいくわけない」
こんな見方は面白い。
彼ら4人を主人公にした續篇をせつに望む。
2003年5月22日讀了
私もこの作品は、お気に入りです。
登場人物のそれぞれの悩み、高校生の爽やかさ(?)など、どれをとっても満足。
特にこの物語には欠かせない、雰囲気のある「松籟館」という舞台がとても好きでした。
文庫版の解説にもありましたが、私も「ネバーランド」を巣立った後の彼らの物語を是非読みたいと思っています。
それでは
恩田陸は好きな作家ですが、この「ネバーランド」はなかでも一番好きな作品です。
彼女の書く高校生はみんな生き生きしてゐますが、この4人はひとりひとりの輪廓が際立つてゐて、それぞれに共感できますね~
私は寛司がお氣に入りです。
男だけの寮生活には、中學時代に憧れました。
北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」の影響かもしれません。